星の旅人たち

2010年作品
監督 エミリオ・エステヴェス 出演 マーティン・シーン、ヨリック・ヴァン・ヴァーヘニンゲン
(あらすじ)
カリフォルニア州で眼科医を営むトム・エイヴリー(マーティン・シーン)のもとに、突然、一人息子ダニエルの訃報が届く。遺体の確認のために訪れたフランスとスペインの国境の町サン・ジャンにおいて、ダニエルが聖地サンティアゴへの巡礼の旅に出掛けた矢先の事故により命を落としたことを知ったトムは、息子の担いだザックに彼の遺灰を詰め、800キロにも及ぶ巡礼の旅に出ることを決意する….


そのルートが世界遺産にもなっているスペインのサンティアゴ・デ・コンポステーラへの巡礼を題材にした作品。

ダニエルは、トムが歩んできたような一般的なエリートコースをドロップアウトして世界中を放浪していたらしく、当然、親子の仲も上手くいっていなかった。しかし、息子との和解のチャンスを永遠に逃してしまったトムは、息子の生き方を理解するため、彼の代わりに巡礼の旅へ出ることを決意する、という導入部はなかなか悪くない。

言うならば、先日拝見した「フォロー・ミー(1972年)」の変形版であり、トムは、息子が見たり、触れたりするはずだった巡礼路の自然や歴史を身をもって体験することにより、徐々に彼の価値観を共有していくのだろうと思って見ていたのだが、意外にもそういった描写は控え目であり、トムが旅の途中で知り合ったオランダ人のヨスト(ヨリック・ヴァン・ヴァーヘニンゲン)、カナダ人女性のサラ、そしてアイルランド人のジャックという三人の人物との交流の方がメインになってストーリーは展開する。

まあ、そういった人との出会いが巡礼の中の重要な一部だというのは十分理解できるところであるが、あのような状況下で、体力も目的も趣味嗜好も互いに異なる四人がずっと最後まで行動を共にするというのは不自然というより不可能であり、俺だったら煩わしくてやっていられない。また、一期一会を旨とするロードムービーにもなっていないと思った。

ということで、“星の旅人たち”というロマンチックな邦題から受ける印象とは少々異なった内容を持つ作品だったのだが、サンティアゴ・デ・コンポステーラへの巡礼自体はとても面白そうで興味津々。俺も現役を引退したらゆっくり時間をかけて挑戦してみたいなあと思いました。(まあ、結局は経済的な問題等で、四国の八十八箇所巡りあたりでお茶を濁すことになるのでしょうが。)