ウエディング

1978年作品
監督 ロバート・アルトマン 出演 キャロル・バーネットミア・ファロー
(あらすじ)
今日は新郎ディノと新婦マフィンの結婚式。新郎側のコレリ家のお屋敷では、両家の親族等を集めた盛大なウェディングパーティが催されるが、その直前、新郎の祖母ネティが老衰のために急逝してしまう。パーティが始まってからも、新婦の母チューリップ(キャロル・バーネット)が新郎の叔父から熱烈な愛の告白を受けたり、姉のバフィ(ミア・ファロー)が新郎の子を妊娠していることが発覚したり….


ロバート・アルトマンによるウェディングパーティを舞台にした群像劇。

彼の群像劇としては、「ナッシュビル(1975年)」に続く第二作目になるのだと思うが、登場するのは結婚披露宴の関係者ばかりということで、設定としては後の「ゴスフォード・パーク(2001年)」に一番近い。ただし、こちらにはミステリイ的な要素は皆無であり、反対にスラップスティック・コメディと言って良いくらい笑いのネタがちりばめられている。

新郎側のコレリ家も新婦側のブレナー家も、ともに裕福な家庭同士らしいのだが、真面目な成り上がりっていう印象の強いブレナー家に対し、コレリ家(正確にはスローン家か?)の方は名門にもかかわらず少々やさぐれた感じ。コレリ家が世間から嫌われていることを憂えていたネティ・スローンが、パーティに来てくれる招待客が少ないことを嘆きながら息を引き取るシーンから、アルトマンらしい底意地の悪いドタバタ喜劇が幕を開ける。

そのネティ・スローンに扮しているのは、公開当時85歳のリリアン・ギッシュであり、彼女以外にも、キャロル・バーネット、ヴィットリオ・ガスマン、ジェラルディン・チャップリンといった実力派が顔を揃えているのだが、正直、「ザ・プレイヤー(1992年)」以降の群像劇に比べると、登場する各キャラクターの掘り下げが浅く、笑いが散発的になってしまっているあたりがちょっと残念だった。

そんな中で一人異彩を放っているのが、ミア・ファロー扮する新婦の姉バフィであり、セリフは少な目でいつも皆の背景に埋もれてしまうような存在なのだが、その口元に浮かぶ薄ら笑いの不気味さは尋常ではなく、実際、終盤の彼女の衝撃的な告白が発端となってストーリーは大きな展開を見せる。

ということで、決して大きな役ではなく、芸術的な必然性がある訳でもないのだが、ミア・ファローは本作で大胆なヌード姿まで披露してくれており、これにはちょっとビックリ。真面目な彼女が、アルトマンの口車にまんまと乗せられてしまったということなんでしょうか。