女の都

1980年作品
監督 フェデリコ・フェリーニ 出演 マルチェロ・マストロヤンニ、アンナ・ブルクナル
(あらすじ)
中年男のスナポラツ(マルチェロ・マストロヤンニ)は、偶然同じ列車に乗り合わせたグラマーな美女に欲情してしまい、彼女の後を追うため、森に囲まれた見知らぬ場所で列車を途中下車する。彼女が向かった先は郊外にある大きなホテルだったが、そこではウーマン・リブの国際大会らしきものが開催されており、大勢の女たちが集まって男の身勝手さを糾弾している最中だった….


フェリーニが、「オーケストラ・リハーサル(1978年)」に次いで公開した作品。

主人公のスナポラツに関しては、あまり夫婦仲が上手くいっていない妻エレナ(アンナ・ブルクナル)がいること以外、最後までその氏素性は明らかにされない。従って、観客は、彼がどんな人間であるのかを、彼の言動から判断するしかない訳であるが、俺が見た限りでは、スケベで我が侭な中年男以外の何物でもない。

まあ、女好きなのは決して悪いことではないのだろうが、女性に関する彼の価値基準が“若さ”や“容姿”といった外見的な要素に大きく偏っているあたりが最悪であり、ウーマン・リブの女性たちが批判する男の身勝手さといったものをことごとく体現していると言って良い。

本作のストーリーは、そんな主人公が様々な女性たちによって翻弄される様子をコミカルに描きながら進んでいくのだが、結局、最後まで大した“罰”を受けることもなく映画は終了。少々意外ではあったが、世の男たちが美女を追い求めるのは一種の“性”みたいなもので仕方ないこと、というのが本作の結論なんだろうか。

主演のマルチェロ・マストロヤンニは、最初から最後までほとんど出ずっぱりの状態であり、正直、彼の飄々としたダメ男ぶりが無かったら、本作を最後まで見続けるのはかなり辛かったものと思う。本作以降のフェリーニ作品は、これまで一本も拝見したことが無かったのだが、こんな作品ばかりだと今後見るのが少々億劫になってしまうなあ。

ということで、タイトルどおり、画面には巨乳でセクシーな美女たちが大挙登場するのだが、ちょっと大味(大柄?)なタイプの女優さんがほとんどであり、残念ながら、俺とフェリーニの女性の趣味は相当食い違っているような気がします。