ステキな金縛り

今日は、休日にもかかわらず実力テストがあるという娘を学校に送った後、妻と一緒に「ステキな金縛り」を見に行ってきた。

主演の深津エリが三流弁護士を演じるという法廷劇なのだが、まあ、“三流”というだけあって、一般の法廷劇のように、裁判に関する様々なルールを知り尽くした検事と弁護士が法廷で丁々発止の火花を散らす、というのとはかなり異なった展開。

法廷劇ではないが、作中に名前が出てきた「スミス都へ行く(1939年)」でも、議会の発言権を巡る厳格なルールの適用がストーリー上の重要な鍵になっていたのだが、それに対し、本作の裁判長は相当に融通の利く人物のようであり、証人の採用なんかに関してもほとんど何でもアリっていう感じ。まあ、“所詮、コメディなんだから”ということなのかもしれないが、本来、その言い訳は脚本家にとって恥ずべきことなんじゃないだろうか。

また、重要なキャラクターである落ち武者が、終盤、ストーリーの中心から外れてしまうという展開も少々不満であり、彼の“裏切り者”という濡れ衣は、結局、最後まで晴らされないまんま。やはりここは、落ち武者の名誉回復が被告人の無罪の立証に繋がるという結末にすべきだったと思う。

ということで、悪口ばかり書いてしまったが、監督でもある三谷幸喜の“観客を喜ばせたい”という純粋な(?)サービス精神は十分伝わってきたところであり、深津エリのコメディエンヌぶりもなかなか好ましい。俺の苦手な“有名スターのカメオ出演”にしても、妻はとても喜んでいたみたいだし、まあ、決して見て悪い映画ではないと思います。