1992年作品
監督 ロバート・アルトマン 出演 ティム・ロビンス、グレタ・スカッキ
(あらすじ)
ハリウッドにある大手映画スタジオの脚本担当重役であるグリフィン・ミル(ティム・ロビンス)の元へは、毎日、山のような新作映画の脚本が持ち込まれるが、そのうち実際に映画化されるのはほんの一握りだけ。ある日、そんな彼のオフィスに不採用になった脚本家からのものと思われる一通の脅迫状が届けられるが、会社に悪い印象を与えたくない彼は、警察には通報せずに自らその犯人探しを始める....
「ボウイ&キーチ(1974年)」がなかなか見られそうにないので、代わりのアルトマン作品を鑑賞。
ミルは、半年ほど前に自分が脚本を没にしたデイヴッドという脚本家に当たりをつけ、和解話を持ちかけるために彼の家を訪れるのだが、ここからミル自身が殺人〜恋愛〜逃避行というハリウッド映画顔負けのトラブルに巻き込まれてしまう。
まあ、最後は運よく首の皮一枚で生き残ることが出来るものの、そんな彼を待っているハッピーエンドというのが、一方の良心的な映画人にとっては悪夢以外の何ものでもない訳であり、このへんのハリウッド映画に対する痛烈な皮肉がとてもスマートな語り口で綴られている。
映画会社が舞台ということで、大勢の映画スターがカメオ出演しているのだが、最高に可笑しいのがラスト近くの試写会シーンで上映される新作映画に出演しているジュリア・ロバーツとブルース・ウィリスのお二人。特に、後者の俳優さんはその新作映画のようなおバカ映画の常連であり、そんな彼がいったいどんな気持ちでこの役を引き受けたのか想像すると、思わず笑いがこみ上げてきてしまう。
また、「ロープ(1948年)」、「黒い罠(1958年)」、「M(1931年)」といった数々の古典的名作の断片が作中に散りばめられているのもオールド映画ファンにとっては嬉しい限りであり、おそらく何回見直してもその度に新しい発見があるのではないだろうか。
ということで、懸案の「ボウイ&キーチ」に関しては、DVDは廃盤だし、レンタルのリストにも載っていないということで、見るのはなかなか難しそう。仕方がないので、それまでの間、それ以外のロバート・アルトマンの未見の作品を拝見させていただくことに致しましょう。