青い戦慄

1946年作品
監督 ジョージ・マーシャル 出演 アラン・ラッド、ヴェロニカ・レイク
(あらすじ)
海軍飛行士のジョニー(アラン・ラッド)は、二人の親友と一緒に戦地からロサンジェルスへと帰ってくる。しかし、自宅では昼間からパーティが行われており、妻のヘレンは得体の知れないハーウッドという男とただならぬ関係にあるらしい。しかも、彼が戦地にいる間に亡くなった長男の死の原因が、ヘレンの自堕落な生活にあることを知ると、ジョニーは妻を置いて家を飛び出してしまう....


アラン・ラッド主演によるハードボイルドタッチのサスペンス映画。

翌朝、自宅のソファの上で銃殺されたヘレンの死体が発見され、居場所の分からないジョニーに殺害の嫌疑がかけられるのだが、ラジオで妻の死を知った彼は自らの手で真犯人を捕まえようと、まずナイトクラブ“ブルー・ダリア”のオーナーであるハーウッドに近付こうとする。

しかし、本作の冒頭において事件の“伏線”がとても判り易い形で提示されているため、ハーウッドに対する容疑が観客の目を一時的に欺くためのミスリードに違いないことは最初からバレバレの状態。その後、ストーリーは紆余曲折を経ながらも観客のほとんどが予想した方向へと収束していき、そのまま大団円を迎えるかと思われたそのとき、何ともう一つのドンデン返しが!

結果的に真犯人は俺が全く予想もしていなかった人物であり、これはサスペンス映画としてはむしろ歓迎すべきことなのだが、問題なのはそのドンデン返しの内容に無理があり過ぎるところであり、不思議に思って見終わってからネットで確認したところ、この結末は軍からの要請によって無理やり変更させられたものであるらしかった。

まあ、そういうことなら仕方ないのかもしれないが、結末意外にも本作のストーリー展開には強引さが目立ち、見ていて違和感を覚えるところが少なくない。実は、本作の脚本はレイモンド・チャンドラーの書き下ろしなのだが、ハードボイルドという大人のお伽噺を普通のドラマと同じ感覚で映像化してしまった、っていう感じかなあ。

ということで、本作を見てみようという気になった動機の半分以上はハーウッドの妻役で出演しているヴェロニカ・レイクにある訳であるが、実際に見てみると彼女の出番は少ない上、あまり綺麗にも撮れていない。監督のジョージ・マーシャルは、ベテランではあるものの、こういった作品には向いていなかったような気がします。