八ヶ岳(赤岳)

2度目のテント泊ということで、昨日と今日の2日間をかけて憧れの八ヶ岳を歩いてきた。

当初の予定では、行者小屋に設置したテントをベース基地にして、24日は赤岳〜阿弥陀岳を、25日には赤岳〜横岳〜硫黄岳をそれぞれ周回するつもりだったのだが、直前の天気予報によると24日は曇り、25日は曇り時々雨とのことであり、それなら先に時間のかかる赤岳〜横岳〜硫黄岳の方を歩いてしまおうと、24日未明に自宅を出発する。

4時間余のドライブの末、午前6時過ぎに美濃戸にある赤岳山荘の駐車場にたどり着き、2日分2,000円の駐車料金を支払ってから、6時41分に駐車場を出発。美濃戸山荘の前を通過し、“八ヶ岳中信高原国定公園”の立派な看板の先にある北沢との分岐(6時48分)を右に入って、南沢コースへと進む。

沢沿いに続く苔むした登山道は、まあ、どうってことのない緩斜面なのだが、“八ヶ岳”というネームバリューのせいか、何処となく厳かな雰囲気が漂っているような印象であり、そんな中を何度かの渡渉を繰り返しながら進んでいく。脚力温存のため、歩くペースはいつもより控えめを心掛けた。

途中(7時18分)、沢と別れて左手の斜面を上っていくが、その後も沢音が絶えることはなく、いつの間にか再び沢沿いの道を進んでいることに気付く。比較的新しいと思われる土砂崩れの跡(8時00分)を乗り越えて進んで行くと、次第に視界が開けてくるようになり、8時34分に行者小屋に到着。

予定では、ここで素早くテントを設営し、文三郎尾根を上って赤岳〜横岳〜硫黄岳と周回するつもりだったが、強風下でのテント設営に予想以上に手間取ってしまい、再出発の準備が出来たのは9時15分のこと。天候はいつ雨が降ってきてもおかしくないような状態であり、ゴーゴーという風の音が物凄く、予定を変更すべきか迷いながらテント場を後にする。

9時22分に文三郎尾根への最初の分岐を過ぎると、その先から長い階段を上ることになるのだが、重装備から開放された喜び(?)のせいか、肉体的苦痛はほとんど感じない。稜線上にある中岳との分岐(9時58分)を左折すると急な岩場が出現するが、決して難しいところや怖いところはなく、キレット分岐(10時6分)〜竜頭峰分岐(10時15分)を経て、10時21分に赤岳山頂(2,899m)に立つことが出来た。

しかし、真っ白なガスに包まれた山頂からは何も見えないばかりか、強風のせいで証拠写真を撮るのさえままならないような状況であり、ここで硫黄岳までの稜線歩きを正式に(?)断念。地蔵尾根を下ってテント場に戻ることにするが、赤岳頂上小屋を通過した先の吹きっさらしでは、下から吹き上げてくる強風のために立っているのも難しく、進むべきルートも全く視認できない。

これならば上ってきた文三郎尾根を下った方がずっと安全ということで、赤岳頂上小屋を通過した地点で無念のUターン。中岳との分岐に着いても今さら阿弥陀岳を目指そうという気力は全く湧いてこず、11時32分には行者小屋のテント場まで戻って来てしまった。

それからは本を読んだり、ゲームをしたりしながらテントの中でゴロゴロしていたのだが、夜中に聴いたラジオからは、軽井沢では土砂崩れのせいで大勢の登山客が足止めを喰っているとか、今夜から明日にかけて長野県内でも局地的な豪雨が予想されるといった不安なニュースばかりが流れてくる。

まあ、八ヶ岳周辺がその“局地”に含まれているのか定かではなかったが、夜半すぎにテントを叩く激しい雨音に目を覚まされて以降、不安は大きくなるばかり。当初の予定とはかなり異なる結果となってしまうが、最低限のノルマである赤岳登頂は果たしたので、2日目の予定は取り止めにして、夜が明け次第、撤退することにした。

ということで、本日の午前4時頃、雨脚の衰えたときを見計らってテントの撤収に取り掛かり、5時8分に行者小屋のテント場を出発し、6時36分に赤岳山荘の駐車場まで戻ってきた。楽しみにしていた赤岳〜横岳〜硫黄岳の稜線歩きが果たせなかったのは大変残念であるが、まあ、とりあえずこれで八ヶ岳はクリアしたことにしておいて、次はいよいよ北アルプスに挑戦しようと思います。