バーレスク

2010年作品
監督 スティーヴン・アンティン 出演 シェール、クリスティーナ・アギレラ
(あらすじ)
アイオワの片田舎町から歌手になることを夢見てロサンジェルスへやってきたアリ(クリスティーナ・アギレラ)は、ふとしたきっかけで立ち寄ったショー・クラブ“バーレスク”でテス(シェール)の華麗なステージを一目見て心を奪われてしまう。しかし、店の共同経営者でもあるテスに雇って欲しいと直談判するも軽くあしらわれてしまい、困った彼女はひとまずウェイトレスとしてその店に潜り込む….


人気歌手クリスティーナ・アギレラの映画デビュー作。

といっても、俺が彼女の歌をきちんと聴いたのは、彼女が「ザ・ローリング・ストーンズ シャイン・ア・ライト(2008年作品)」にゲスト出演していたときの一度だけ。本作を見た動機も、彼女が出演しているからというより、単に久しぶりに新作のミュージカル映画を見てみたかったからというのが正直なところ。

まあ、本作は、登場人物が会話の途中に突然歌いだすといった類の本格的ミュージカルではないのだが、作品の舞台になるのがショー・クラブということで、歌やダンスはふんだんに登場する。それも一曲の最初から最後までしっかり全部見せてくれるので、もうこれだけでかなりの程度まで満足してしまえる。

ストーリーの方も、ウェイトレスとして雇ってもらったアリが次第にショー・ガールとして頭角を現していくまではなかなか面白く、彼女が自分の実力を初めて爆発させるシーンはとても良くできていると思う。しかし、残念なのはここからであり、アリを巡る三角関係(=五角関係?)や店の買収問題等々といったエピソードが登場するものの、どれもこれもショーの内容とは直接関係ないものばかり。

特に、店の買収問題に関しては、アリがショーの主役を務める以前から店は結構繁盛しているようであり、赤字の原因が何なのかさっぱり理解不能。最後は、アリの機転によって買収の危機を逃れるのだが、その救済策もショーとは全く関係ないところから出てくるため、後半はショーとストーリーとがほとんど噛み合わないような形になってしまうんだよね。

ということで、主演のクリスティーナ・アギレラはそのスレンダーな肢体を大胆に披露してくれているのだが、“バーレスク”という言葉の持つイメージからするとちょっとボリュームに欠けるような気がする。一方、公開当時64歳のシェールはお見事の一言であり、俺が中高生の頃、歌手としては既に下り坂(?)だった筈の彼女がいまだに健在というのは、本当に凄いことだと思います。