嘆きの天使

1930年作品
監督 ジョセフ・フォン・スタンバーグ 出演 エミール・ヤニングスマレーネ・ディートリッヒ
(あらすじ)
ハンブルグの高等学校で教鞭をとっているラート教授(エミール・ヤニングス)は、授業中、ある生徒が女性の卑猥なブロマイドを盗み見ているのを見つける。別の真面目な生徒を問い質し、何人かの生徒が夜な夜な町のキャバレーに通い詰めていることを聞き出した彼は、単身そのキャバレーに乗り込むが、そこであられもない姿で舞台に立つローラ(マレーネ・ディートリッヒ)という歌姫に出会ってしまう….


タンバーグマレーネ・ディートリッヒを見出した古典的名作。

あまりにも有名な作品であり、ずーっと昔、故淀川長治氏による解説をラジオ番組で何度も耳にしたり、この作品のあらすじを写真入で紹介している映画雑誌の記事を読んだりしていたため、つい見たつもりになっていたのだが、実を言うと作品をちゃんと見たのは今回が初めて。

大まかなストーリーはその映画雑誌で紹介されていたとおりであり、真面目な初老の教師が一目惚れしたキャバレーの女歌手に入れあげた挙句、身を滅ぼしてしまうという比較的単純なもの。ラスト近く、道化師に身をやつしたラート教授が昔の同僚や生徒の前で舞台に立つシーンは、分かっていてもなかなか正視できないくらい悲惨なものであった。

少々意外だったのは、ラート教授の人間としてダメな部分が最初からきちんと描かれていたところであり、どんなに偉そうに振舞っていても、所詮彼が小心者であることは生徒たちにしっかりと見抜かれてしまっている。そんな彼に同情する生徒はいたとしても、尊敬する者は誰もいない訳であり、その現実を自分で認められないあたりに彼の悲劇の根本的な原因があったのだろう。

一方、ローラの方は決して悪女という訳ではなく、言うなれば“来るものは拒まず”を地で行っているだけ。ラート教授と正式に結婚したにもかかわらず、別の男の誘いに簡単に乗ってしまうのは許されないことなのかもしれないが、そんな性格だからこそラート教授の求婚にもあっさりOKを出した訳であり、そこを責めていては元も子もない。

ということで、公開当時29歳のマレーネ・ディートリッヒは思ったよりもポッチャリしており、これがなかなか可愛らしい。自慢の脚線美も、現在の日本のモデルさんなんかより少々太目なくらいであるが、個人的にはこれくらいがちょうど良いと思います。