ヒックとドラゴン

2010年作品
監督 クリス・サンダース、ディーン・デュボア
(あらすじ)
バーク島に暮らすバイキング一族の最大の悩みは、彼等の家畜等を狙って大昔から繰り返されるドラゴンたちの襲撃。一族のリーダーであるストイックは、仲間たちと一緒に斧やハンマーを振るってドラゴンと戦ってきたが、非力で気の優しい彼の一人息子ヒックはドラゴン退治に参加させてもらえない。しかし、ある夜の襲撃の際、ヒックの作った秘密兵器(?)が最強のドラゴン“ナイトフューリー”にマグレ当たり….


ドリームワークスのCGアニメを妻と一緒に鑑賞。

見事ドラゴンを撃ち落したことを誰にも信じてもらえないヒックは、一人で落下地点の捜索に向かうのだが、彼はそこで尾羽を失って上手く飛べなくなった真っ黒なドラゴンに出会う。どうしても止めを刺すことが出来なかった彼は、そのドラゴンを“トゥース”と名付け、手作りの尾羽を与えて一緒に大空へと翔けあがる!

一般的にドラゴンには“最強”に近いイメージがあるため、開始早々繰り広げられる人間とドラゴンによるほぼ互角の肉弾戦にまず驚かされてしまうのだが、このように人間とドラゴンの能力差を比較的小さ目に設定したところが本作のミソ。そのおかげで、ヒックとトゥースの友情や最後のハッピーエンドを全く違和感無く受け入れることが出来る。

まあ、ストーリーのベースになっているのは「くもりときどきミートボール(2009年)」とも共通する“父親の期待に応えられない息子の苦悩”であり、開拓者の末裔であるアメリカ人の方々にとっては定番ネタの一つなんだろうが、「エデンの東(1955年)」みたいドロドロしていないし、トゥースとの友情やアスティに対する初恋なんかと上手くバランスが取れていてなかなか良い感じ。

また、グラフィックの出来も超一級品であり、俺が今までに見てきたCGアニメの中では最高の部類に入る。実は、本作は劇場では3Dで公開された訳であるが、正直、「トイストーリー3(2010年)」はDVDでも構わないから、本作の方を劇場で見ておくべきだったと今更ながら後悔してしまった。

ということで、本作の最大の欠点は「ヒックとドラゴン」という、まるで昔の童話のタイトルみたいな凡庸な邦題だろう。もっと中年オヤジの興味を惹きそうな邦題を付けておいてくれたなら、おそらく「アバター(2009年)」に勝るとも劣らない飛翔感を劇場で味わうことが出来たものと思われます。