2005年作品
監督 ウディ・アレン 出演 ジョナサン・リス・マイヤーズ、スカーレット・ヨハンソン
(あらすじ)
プロのテニスプレイヤーを引退し、ロンドンにある会員制テニスクラブのインストラクターとして働き始めたクリス(ジョナサン・リス・マイヤーズ)は、会員の一人で実業家の息子であるトムと親しくなり、彼の妹クロエの願いもあって彼等の屋敷を訪れることになる。クリスは、その家で女優の卵だという魅力的なアメリカ人女性ノラ(スカーレット・ヨハンソン)と出会うが、彼女はトムの婚約者だった….
「ギター弾きの恋(1999年)」が面白かったので、今度はウディ・アレンの比較的新しい作品を鑑賞。
アイルランド出身で上昇志向の強いクリスは、まんまとトムの家族と親しくなることに成功し、クロエと結婚。義父の経営する会社に就職し、若手の重役社員として周囲の評価も上々であるが、困ったことにどうしてもノラのことが忘れられない。そんなとき、心変わりしたトムがノラとの婚約を破棄したもんだから、クリスはもう自分の欲望を抑えることが出来なくなってしまうんだよね。
前半は比較的コメディ色は薄目なのだが、ノラとの浮気に走ったクリスが、彼女の妊娠を機に不倫関係を清算しようと決意するあたりから一気に面白くなってくる。人生では何よりも“運”が大事という彼が、正に人生を賭けた完全犯罪に挑むのだが、そこは素人の悲しさで手筈はボロボロ。担当刑事の名推理もあって万事休すと思われたとき、まさかの出来事が起こる!
まあ、普通に考えればそんな偶然が起きる可能性はほとんど“0”であり、これが並みのサスペンス映画であれば到底許される筈も無い訳であるが、そこはウディ・アレンならではの精緻な計算とコミカルな演出のおかげで、この超ご都合主義的な結末を不思議なくらい違和感なく受け入れられてしまうのが凄い。
また、出演者ではノラ役のスカーレット・ヨハンソンの存在が際立っており、俺にとっては、これまで“娘役”的な印象の強い女優さんだった故、本作での大胆な演技にはちょっとビックリしてしまった。うーん、とても公開当時21歳とは思えないなあ。
ということで、前半部分を丁寧に描き過ぎたため、上映時間が124分とネタの割には少々冗漫な作品になってしまった点が残念であるが、やっぱりウディ・アレン自身が俳優として出演していない作品はとても面白く(?)、これを90分位に収めていれば、さぞかしキレのある佳品になっていたものと思います。