デス・プルーフ

2007年作品
監督 クエンティン・タランティーノ 出演 カート・ラッセルゾーイ・ベル
(あらすじ)
テキサスのローカルラジオ局の人気DJであるジャングル・ジュリアは、女友達と一緒に車で街へと繰り出し、馴染みのバーで酒を飲みながらガールズトークに花を咲かせていた。そんな彼女たちを、ドクロマークの付いた一台の不気味なシボレーが密かにつけ回していたが、その車を運転していたのは顔に傷痕のある謎の中年男スタントマン・マイクカート・ラッセル)だった….


イングロリアス・バスターズ(2009年)」が絶賛上映中のクエンティン・タランティーノが2年前に公開した作品。

実は、「イングロリアス・バスターズ」にも十分興味はあるんだけれど、家族で映画館に見に行くのには内容的に相当問題がありそうだし、俺自身、グロはあまり得意な方ではないということで、代わりにタランティーノの前作をこっそり一人で鑑賞してみることにした次第。

冒頭、若い娘たちによるガールズトークが延々と続くのだが、ジャングル・ジュリア以外はあまり美人じゃないし、彼女等の話しの内容にも全然興味が持てない。しかし、いいかげん勘弁してよと思ったところで登場する最初の衝撃シーンで眠気は吹っ飛び、続く大クラッシュ・シーンを(怖いので、顔をややそむけながら)見てからは画面から目が離せなくなった。

いや、ホラー映画でもカー・アクション映画でもなく、正真正銘のおバカ映画なのだが、そこは流石タランティーノということで、全体の時間配分は見事に計算されており、ダラダラとした印象の序盤とは対照的に、やや唐突に「THE END」の文字が現れるラストシーンも、考えてみればあのタイミングがベストなんだろう。

まあ、真面目な俺としては、映画なんだから何をやっても許されるという意見に対しては、少々同意を躊躇ってしまうのだが、タランティーノ作品の場合、とりあえずは“社会的弱者”の観点から描かれているため、ついつい許せてしまうんだよなあ。また、どんな残酷シーンにもコメディの要素が適度にまぶされているところなんかも誠に心憎い。

ということで、俺は若い頃からクルマに興味がなかったため、「バニシング・ポイント(1971年)」や「ダーティ・メリー/クレイジー・ラリー(1974年)」といった作中で言及されるカー・アクション映画を見たことはないのだが、そんな俺でも本作は十分楽しめた。「イングロリアス・バスターズ」も後でこっそりDVDで楽しむことに致しましょう。