偉大なるアンバーソン家の人々

1942年作品
監督 オーソン・ウェルズ 出演 ティム・ホルト、ジョセフ・コットン
(あらすじ)
19世紀末、アメリカ中西部の町に大邸宅を構えるアンバーソン家の一人息子として生まれたジョージ(ティム・ホルト)は、母イザベルの愛情を一身に受けて何の苦労も無く育てられた挙句、他人の痛みを理解できない傲慢な性格の青年に成長する。そんなある日、イザベルの昔の恋人であった自動車エンジニアのユージン・モーガン(ジョセフ・コットン)が娘と一緒に久しぶりに帰郷して来るが….


オーソン・ウェルズの「市民ケーン(1941年)」に続く監督第二作目。

ジョージは、男やもめのユージンの一人娘であるルーシー(アン・バクスター)に好意を持つものの、自分の母親に親しそうに接するユージンのことはどこか最初から気に入らない様子。その後、ジョージの父親が急死してしまい、未亡人となったイザベルとユージンの仲は急速に接近するのだが、我が子の気持ちを思う彼女はユージンのプロポーズをどうしても受けることが出来ず、心労のあまり死の床へ。

結局、我儘なバカ息子のせいでイザベルは失意のうちに亡くなってしまい、それと時を同じくしてアンバーソン家も破産。全てを失ったジョージは工場の労働者として働くことになるのだが、運悪く事故で両足を失ってしまう。しかし、そんな悲惨な結末を救ってくれるのが、ユージンとルーシーのモーガン親子であり、最後は柔らかな光に包まれたような静かなハッピーエンドで幕を閉じる。

まあ、元々上映時間が131分だった作品を興行側の都合で88分にまで切り詰めたということで、最初の頃、登場人物の人間関係が良く分からなかったりもするのだが、自動車の普及に象徴される時代の変化の中で名門のアンバーソン家が没落していくという一大ドラマの片鱗は本作からも確かに感じ取ることが出来る。

公開当時に高く評価されたというカメラワークは、「市民ケーン」に比べて使われ方が地味なせいか、今となってはそれ程凄いとは思えないのが残念ではあるが、ジョセフ・コットンやアグネス・ムーアヘッドといった芸達者な俳優陣の魅力を十分に引き出した演出にはなかなか迫力がある。

ということで、本作の最大の弱点は、そんな強力な脇役陣に囲まれたティム・ホルトの力不足が目立ってしまうところであり、彼の平板な演技からは名門に生まれた若者の悲劇みたいなものが上手く伝わってこない。年齢的に無理とは判っていても、この役をオーソン・ウェルズ自身が演じていたら、きっと素晴らしかったろうと思わずにはいられません。