気分を出してもう一度

1959年作品
監督 ミシェル・ボワロン 出演 ブリジット・バルドー、アンリ・ヴィダル
(あらすじ)
裕福な実業家の一人娘であるヴィルジニー(ブリジット・バルドー)は、親の反対を押し切って結婚した歯科医師のダンデュー(アンリ・ヴィダル)と新婚早々夫婦ゲンカ。しかし、それがきっかけで彼は美人ダンス教師の殺人事件に巻き込まれてしまい、夫の無実を信じるヴィルジニーは、真犯人を捜すために臨時講師として単身ダンス教室に潜入するが….


ブリジット・バルドー主演によるミステリイタッチのコメディ映画。

ヒロインが素人探偵となって愛する人の無実を晴らすという筋立ては、新鮮味の欠片も無い程に使い古されたパターンであり、その作品が成功するかどうかはヒロインの魅力如何にかかっている訳であるが、その点、本作のヴィルジニーに対してはまずは合格点を付けても差し支えないだろう。

何といってもそのヒロインに扮しているのが、可愛らしさの点から言えばまさに絶頂期にあったバルドーであり、愛する夫のために一癖も二癖もありそうな容疑者に単身で立ち向かっていくお姿は誠に好ましい限り。さらに、殺人事件の舞台になったのがダンス教室ということで、彼女がスカートのすそをヒラヒラさせながら踊るお姿をじっくりと鑑賞出来るのもとても有難い。

それ程にヒロインが魅力的ということで、犯人のワナに嵌った彼女が貞操の危機に陥るというシーンがあっても良さそうな気もするが、本作の場合、犯人が男色家という設定にしてあるため、そのような展開は全く見られない。まあ、このへんはアイドル映画の限界なのかもしれないが、そのせいで夫役のアンリ・ヴィダルに最後まで見せ場が回ってこないのは誠にお気の毒。

また、ヴィルジニーの父親役でノエル・ロクヴェールが出演しているのだが、彼の場合、例えセリフが少なくても、そこに居るだけで可笑しさがこみ上げてくるという訳で、本作でもアンリ・ヴィダル以上の存在感を示していた。

ということで、久しぶりに拝見した若き日のブリジット・バルドーは、手足やウエストがとてもほっそりしていて、グラマー女優というイメージからはちょっと意外な感じ。まあ、それでいて、出るべきところはしっかり出ているのだから、やっぱり大したものなんでしょう。