スラムドッグ$ミリオネア

今年のアカデミー賞を独占した話題作ということで娘も興味がありそうだったため、家族で「スラムドッグ$ミリオネア」を見に行ってきた。

映画が始まって早々、主人公が幼かった頃のシーンになるんだけれど、ここで描かれるインドのスラム街で生活する子供たち(=スラムドッグ)の暮らしぶりはちょっと尋常ではない。しかし、本作ではそれを上質のアクション映画のようにスピーディに、ときには笑いを交えて描いているせいで、決して悲惨な(だけの)イメージとしては伝わってこない。

主人公たちが青年に成長したあたりで少々スピードがダウンし、それまでストーリーの背景に隠れていた純愛のテーマが次第に前面に押し出されてくる訳であり、まあ、このへんで少々ダレるものの、クイズの最後の問題に挑戦するあたりから再びスピードを取り戻し、最高のハッピーエンドへと辿り着く。

ご都合主義なんて批判は端っから恐れない相当に強引なストーリーであるが、あれだけ苦労してきたのだからということでそれも許せてしまうあたりは、製作サイドの計算どおり。アカデミー賞の作品賞受賞作としては相当小粒な作品であるが、監督賞及び脚色賞に関してはまずは異論のないレベルだと思う。

主人公の子供時代の悲惨な経験が、結果的にとはいえ、彼の人生にプラスの方向で作用したかの如きストーリーにはちょっと違和感を覚えないでもないが、あの状態で命を失ったり、誤った道へ進んでしまった子供たちも大勢いた筈であり、まあ、本当のところ彼は単に運が良かったのに過ぎないのだろう。

ということで、見終わってからの娘の感想も悪くなく、“クイズの最終問題が「三銃士の名前」っていうのは少々簡単すぎでは”という彼女の指摘にも全く同意見。これからもこういった作品に付き合ってもらえそうです。