グレン・ミラー物語

1953年作品
監督 アンソニー・マン 出演 ジェームズ・スチュアートジューン・アリソン
(あらすじ)
若きトロンボーン奏者のグレン・ミラージェームズ・スチュアート)は、彼独自の新しい“サウンド”を創り出すという希望を持っているが、経済的には苦しい日々。学校時代の女友達ヘレン(ジューン・アリソン)と半ば強引に結婚したことをきっかけに生活の安定を考えるが、そんな彼に対してヘレンは作曲の勉強を再開することを勧める….


次の日曜日にグレン・ミラー・オーケストラのコンサートを聴きに行くため、事前のお勉強を兼ねて家族全員で鑑賞。

数ある音楽家の伝記映画の中でも、最も有名な作品の一つであり、俺自身、これまでに10回以上見ているかもしれない。ストーリーだけから考えてみると、グレン・ミラーという人は随分とワンマンで強引な性格だったように思われるが、そこはジェームズ・スチュアートジューン・アリソンというハリウッドきっての名コンビのおかげで、楽しいホームドラマに仕上がっている。

見終わってからの娘の感想にもあるとおり、ラストを除き、波瀾万丈というのからは程遠い内容であるが、ささやかなエピソードを丁寧に積み重ねることによって物語前半も決して観客を飽きさせない。そして、「ムーンライト・セレナーデ」での大成功からは、「真珠の首飾り」、「ペンシルバニア6-5000」といった名曲のオンパレードによって話しを盛り上げておいて、一転、あのしみじみとした結末へ。

まあ、あのラストにしても、決して衝撃的な大事件としては描かずに、“ひょっとしたらまだどこかで生きているんじゃないだろうか”って観客に思わせるくらいにさりげなく描いているあたりがまたお見事で、グレン・ミラーサウンドが彼の死後も永遠に人々から愛されていくことを暗示している。

ということで、家族で鑑賞するため、今回は日本語吹替え版のほうで鑑賞させて頂いたところであるが、主演のお二人の吹替えがいつもの声優さんではなかったので、個人的にはちょっと違和感が残った。口直しに、彼等の初共演作品である「甦る熱球(1949年)」を久しぶりに見てみたいんだけど、どこかでDVD化してくれないかなあ。