蔵の街かど映画祭

昨日と今日、栃木市で開催されている「蔵の街かど映画祭」に家族で行ってきた。

この映画祭は、“江戸や明治時代に建てられた歴史建造物蔵を同時に十棟ほどミニシアターに変貌させる全国初の歴史景観活用型の映画祭”というもので、1,200円の通行手形を購入すれば各ミニシアターで上映される約60本の名作映画が見放題というシステム。

しかし、中身はビデオプロジェクターを使った上映らしく、普通なら間違いなくパスするところなんだけど、よくよく見てみれば上映作品の一本にあの「にんじん」があるではないか! 念のため、主催者側にメールで問い合わせたところ、“デュヴィヴィエ監督の「にんじん(1932年)」に間違いありません”という嬉しい回答。

で、朝寝坊の娘を強力に説得し、会場の岡田記念館翁島に開演時間である午前10時前に到着した訳なんだけれど、主催者あいさつの後に始まった「にんじん」はデュヴィヴィエとは何の関係もない色鮮やかなカラー作品だった。しかも、御親切に“悪ガキの性の芽生え”みたいなテーマまで取り入れて下さっており、娘とは一緒に聞きたくないようなセリフや女性のヌードシーンまで登場する始末。

家族の手前、途中で席を立つような真似はしなかったけれど、これでは全くの詐欺としか言いようがない。だいたい、“映画祭”と銘打ちながら、公式HPを見ても、パンフレットを見ても上映作品の作品データが題名以外なんにも掲載されていないというのは如何なもんだろう。(実は前述の問い合わせのメールに「その他の作品についても、どこかで作品情報が調べられると有り難いです」と書いておいたんだけど、それには「貴重なご意見ありがとうございます。ご期待にお応えできるよう検討いたします」というおざなりな回答があったっきり。)

ということで、結局、他の作品は見ないで街中をちょっとブラついてからスゴスゴと帰宅した。まあ、“町おこし”という気持ちは理解できるものの、映画をそのためのダシとしてしか考えないような態度は映画ファンの気持ちを踏みにじるものであり、(誰も読んではいないんだろうが)主催者側の猛省を促したいところです。