ヘルボーイ

2004年作品
監督 ギレルモ・デル・トロ 出演 ロン・パールマンジョン・ハート
(あらすじ)
ナチス・ドイツが魔道士ラスプーチンの協力を得て開発した超科学装置により、魔界から召喚されてしまった奇妙な赤ん坊。超常現象研究家のブルーム教授(ジョン・ハート)は彼をヘルボーイと名付け、自ら育てることを決意する。それから60年後、ようやく大人(?)へと成長したヘルボーイロン・パールマン)は超常現象調査防衛局のエージェントとして悪魔との戦いを続けていた….


パンズ・ラビリンス(2006年)」のギレルモ・デル・トロが監督した作品。

1994年に刊行されたシリーズ物のアメコミが原作ということで、第一作目となる本作ではヘルボーイの生立ちやキャラクター設定、それにエリザベス・シャーマン(=ファイヤースターター!)、エイブ・サピエン(=半漁人)、ジョン・マイヤーズ(=一般人)といった主要登場人物の紹介に相当の時間を費やしている。

そのせいもあってか、ヘルボーイと敵対する悪役の方はちょっと小物といった印象が強く、まあ、“ナチス随一の殺し屋”といわれるクロエネンの造形に限っては、「パンズ・ラビリンス」での素晴らしい映像美を思い起こさせるような魅力を感じたものの、ラスプーチンに仕える謎の美女イルザとか悪魔サマエルなんかのデザインについては、もうちょっと何とかして欲しかったようなレベル。

また、それら敵キャラとの戦闘を描いたストーリーの方も相当面白味に欠ける内容であり、特にラスボスが人間の手になる手榴弾によって木っ端微塵になってしまうというラストはあまりにもあっけない。ヘルボーイにはエリザベスのような超能力は無さそうなんで、人工の武器で戦うのもしょうがないんだけれど、うーん、これは今後の宿題になるだろう。

まあ、そうはいっても、バカでかい図体の割には精神的に大人になりきれず、自分の容姿にコンプレックスを持っているというヘルボーイはキャラクター的には十分面白いし、脇役達もなかなか魅力的。状況説明は本作で一通り済んでいるため、もうすぐ公開される次回作「ヘルボーイ ゴールデン・アーミー」では最初っから飛ばしまくりの展開を期待したい。

ということで、噂によるとデル・トロ監督は、現在、ラヴクラフトの「狂気の山脈にて」の映画化を計画中とのこと。以前、「ミスト(2007年)」のフランク・ダラボンにこの小説の映画化をお願いしたところであるが、そういうことであればそっちはもう断然キャンセル!「狂気の山脈にて」は是非ともデル・トロで見てみたいです!!