クリムゾン・ピーク

2015年作品
監督 ギレルモ・デル・トロ 出演 ミア・ワシコウスカトム・ヒドルストン
(あらすじ)
メアリー・シェリーのような女流作家を夢見るイーディス(ミア・ワシコウスカ)は、裕福な実業家の父親と二人暮らし。10歳の時、死んだはずの母親から“クリムゾン・ピークに気をつけて”という謎の警告を受け取って以来、幽霊の存在を信じるようになったが、そんな彼女の前に準男爵の称号を持つ英国人トーマス・シャープ(トム・ヒドルストン)とその姉ルシールが現れる…


ギレルモ・デル・トロの脚本・監督によるゴシック・ホラー。

本来ホラー物は大の苦手なのだが、心密かにお慕い申し上げているデル・トロの新作とくれば見逃す訳には行かない。しかし、例によって俺の住む地方都市(=一応、県庁所在地ではあるのだが…)での上映は見送られてしまったようであり、やむなくDVDでの鑑賞になってしまった。

さて、物語の最初の舞台になるのは、イーディスの住む20世紀初頭のニューヨーク州バッファローなのだが、ここでのミア・ワシコウスカの可愛らしさは天下一品。オカルト好きの文学少女という“早過ぎた”ラブコメ・ヒロインのキャラを健気に演じており、「アリス・イン・ワンダーランド(2010年)」や「ジェーン・エア(2011年)」では動じなかった俺が、いっぺんに彼女のファンになってしまう。

正直、そのままラブコメ路線を続けてもらっても全く異存はなかったのだが、父親の突然に死によって舞台はトーマスとルシール(ジェシカ・チャステイン)の故郷である英国へ。そこに登場する荒廃した洋館の醸し出す頽廃美はこれまた天下一品であり、大きな穴の空いた天井から枯れ葉が舞い落ちてくるシーンなんて、これまで一度も見たことがない!

まあ、そんな具合に見所は満載なのだが、見終わった時点での満足度がそれほど高くないのも否定しがたい事実。意外性の少ないストーリーは所々退屈であるし、ルシール役がジェシカ・チャステインでは少々線が細すぎる。ゴシック・ホラーのヒロインが殺人鬼の脳天をスコップで叩き潰すというラストは面白かったけどね。

ということで、他にちょっと気になったのは、トーマス役のトム・ヒドルストンのことを一緒に見ていた娘がカッコイイと言って盛んに褒めること。確かに、若き日のウド・キアを彷彿させる容姿はゴシック・ホラーにピッタリだが、所詮(?)俺にとっては敵役のロキであり、あの胡散臭さをカッコイイと評する女心には、正直、ついていけませんでした。