ミミック

1997年作品
監督 ギレルモ・デル・トロ 出演 ミラ・ソルヴィノ、ジェレミー・ノーサム
(あらすじ)
子供を死に至らしめる未知の伝染病がニューヨークで流行し、昆虫学者のスーザン(ミラ・ソルヴィノ)は感染源であるゴキブリを全滅させるべく、遺伝子操作によって生み出された新種の昆虫“ユダの血統”を街に放つ。それから3年後、伝染病の流行は終息し、彼女もピーター(ジェレミー・ノーサム)と結婚していたが、そんな彼女の元へ既に死滅したはずのユダの血統の幼虫が持ち込まれる….


ギレルモ・デル・トロのハリウッド・デビュー作となるSFホラー。

“ユダの血統”は、アリとカマキリの遺伝子を合成した新種の昆虫。不妊処置が施されていたため、半年程度で全滅する予定だったのだが、何故か繁殖能力を獲得したらしく、加速された繁殖サイクルによって夥しい回数の突然変異を繰り返した結果、エサである人間の姿に擬態する能力を身に付けるまでに進化する。本作のタイトルである“ミミック”というのは、この擬態を意味する生物学用語だとのこと。

事態の重大さに気付いたスーザンが、夫でニューヨーク疫病予防管理センターの職員であるピーター等と一緒に、ニューヨークの地下にあるらしい巨大昆虫の巣窟に乗り込むという設定は、正直、「エイリアン2(1986年)」の二番煎じだといわれても仕方ない。あとは、どれくらい新味を出すことが出来るかが勝負になる訳だが、正直、あまり成功しているとは言い難いなあ。

前半、スーザンが幼虫に手を刺されたり、巨大昆虫と“会話”が出来る発達障害の少年が登場したりと、魅力的な伏線はいくつも出てくるのだが、結局、それらは最後まで全く活かされていない。

また、地下からの脱出方法に関しても、せっかく、長年使われないまま放置されていた旧式の電気機関車(=往年の名機!)の活用というワクワクするようなアイデアを出しておきながら、これも途中であっさり諦めてしまうなど、ストーリーに一貫性が無いっていう感じ。何箇所かデル・トロらしいスタイリッシュな映像が見られるものの、全体的にはB級モンスター映画の域を出ない作品だった。

ということで、「ヘルボーイ/ゴールデン・アーミー(2008年)」以降、新たな監督作品を発表していないデル・トロであるが、楽しみにしていた「狂気の山脈にて」の映画化の話も中止になった模様。大変残念ではあるが、年内には「パシフィック・リム」という怪獣映画が公開予定らしく、とりあえずこれで我慢しておきましょう。