ア・フュー・グッドメン

1992年作品
監督 ロブ・ライナー 出演 トム・クルーズジャック・ニコルソン
(あらすじ)
ジェセップ大佐(ジャック・ニコルソン)が指揮するキューバの米海兵隊基地で、隊員が別の隊員2人からリンチを受け、死亡するという事件が発生する。殺人罪で起訴された容疑者の弁護人にはハーバード出身で法廷経験のないキャフィー中尉(トム・クルーズ)が任命されるが、内部調査部のギャロウェイ少佐はそんな彼に対し、事件の裏に“コード・レッド”が存在する可能性を示唆する….


以前からちょっと気になっていた作品であり、同じロブ・ライナージャック・ニコルソンのコンビによる「最高の人生の見つけ方(2007年)」を鑑賞する前に見てみた。

“コード・レッド”というのは、隊の規律を乱す者に対する私的制裁のことであり、本件の殺人事件において、容疑者とされた2人の行動の背後に上司からのコード・レッドの命令が存在したのか否か、という点が裁判の最大の焦点になる。

キャフィー中尉、ウェインバーグ大尉それにギャロウェイ少佐(デミ・ムーア)の若手弁護士トリオは、このコード・レッドの存在を証明するために悪戦苦闘する訳であるが、軍隊という閉じた世界の中で起きた事件のためになかなか決定的な証拠を掴めず、遂には自らの危険(=上官侮辱による懲戒処分)も顧みずに大物のジェセップ大佐を証言台に引っ張り出す。

まあ、最後はキャフィー中尉v.s. ジェセップ大佐の直接対決の結果、前者が勝利して見事ハッピーエンドとなる訳であるが、ここでのジャック・ニコルソン扮するジェセップ大佐の迫力は圧倒的であり、演技合戦でいったら間違いなく後者の勝ち。全体的に出番が少ないにもかかわらず、彼が主演扱いされていることもこれなら文句なしに納得です。

ストーリー的には、ハンフリー・ボガートが主演した名作「ケイン号の叛乱(1954年)」を彷彿とさせるような部分もあるんだけど、こちらでは現場タタキ上げのジェセップ大佐の意見はまったく考慮されていない様子。その分、スカッとしたエンディングになっているのは確かだけど、あまりにストレートすぎる結論も何だか物足りない。最後にジェセップ大佐を追い詰める二つの命令の矛盾っていうネタも見ていて事前に判ってしまったし・・・

ということで、ロブ・ライナーらしい生真面目な演出が好印象を与える作品ではあるが、そんな中、トム・クルーズの演じるヘタクソな野球シーンだけが妙に浮いてしまっている。まあ、本スジとはあまり関係がないので御愛嬌の範囲内ではあるが、弁護よりも野球が好きというキャフィー中尉があのヘッピリ腰というのは、ちょっと失笑もんでした。