ミレイ展〜新宿末広亭

ジョン・エヴァレット・ミレイ展が渋谷のBunkamuraで開催中ということで、家族で見に行ってきた。午前10時30分頃に会場に着いたんだけど、それなりの人出であり、会場を一回りするのに2時間程かかった。

さて、何といっても今回の目玉は、昔、雑誌か何かで見てちょっとトラウマに近い衝撃を受けた、あの「オフィーリア」。とても繊細に描かれた美しい草花の中を、目を見広げ、手を中空に突き出したポーズで水面を漂っていくヒロインのお姿は、“狂気”の恐ろしさと美しさを見事に表現しており、やはり一見の価値がある。

それ以外の作品でもミレイの超絶的なテクニックは驚くほどであり、特に、晩年、可愛らしい少女たちを描いた作品は見ていてとても楽しいものばかり。さぞかし良い値で売れたんだろうなあなんて思いながら拝見させて頂いた訳だが、一方、(これは妻や娘も同意見なんだけど)彼の描く人物からは体重や筋肉といったものの存在があまり感じられず、このへんが現在どう評価されているのかちょっと気になった。

終了後、新宿に出てアルタの裏にあるレストラン「アカシア」で昼食。ロールキャベツ(俺)、ハンバーグ(妻)それとビーフシチュー(娘)を食したが、いかにも老舗洋食屋らしい味付け(?)でなかなか興味深かった。

まだ時間があるので、この後、TVの「笑点」ファンでもある娘のリクエストにより、末広亭で落語を聞くことにした。昼席ということで、「笑点」に出てくるような落語家の出演はなく、30分くらいで飽きてしまわないかと心配だったが、「桃太郎」、「くしゃみ講釈」(=かなり端折ってあった。)、「壷算」といった古典落語も案外面白そうに聞いていた。

実際、落語、漫才にかかわらず、各演者の水準はなかなか高く、聞いていて“さすがに末広亭はちょっと違うなあ”と感心してしまう程。中でも大ベテランである三笑亭笑三師匠の話術は、まあ、ネタ自体は小咄程度なんだけど、その声の艶といい、間といいまさに絶品であり、家族一同思わず聞き惚れてしまった。

ということで、生憎の桟敷席のために足が痺れてしまい、今回は2時間ほどで中座させていただいた訳だが、娘も“椅子席だったら、あと1時間くらい聞いていたかった”とのこと。次回は、誰かの独演会で一緒に大ネタをじっくりと聞きたいなあ、と思いました。