紳士は金髪がお好き

1953年作品
監督 ハワード・ホークス 出演 ジェーン・ラッセル、マリリン・モンロー
(あらすじ)
ニューヨークで人気のドロシイ(ジェーン・ラッセル)とローレライマリリン・モンロー)はとても仲の良い芸人同士。ローレライは大富豪の御曹司ガスとパリで結婚しようとするが、彼の父親の反対で中止になってしまい、代わりにドロシイが同行することになる。しかし、ローレライの素行を調べるためにガスの父親がその船に私立探偵を乗り込ませたから、さあ大変….


ハワード・ホークスが、「モンキー・ビジネス(1952年)」の翌年にマリリン・モンローと組んで発表したミュージカル・コメディ。

モンロー扮するローレライはお金(特にダイヤモンド!)が大好きで、結婚相手も資産で決めるという比較的単純なキャラクターであるのに対し、ジェーン・ラッセル扮するドロシイは、そんなローレライを助けながら、一方では、彼女たちの敵である私立探偵と恋に落ちるという結構難しい役どころ。

それまでのキャリアや歌唱力からいってもジェーン・ラッセルの方が一枚も二枚も上手であり、本作の主役は間違いなく彼女なんだけど、見終わってから印象に残っているのはもう圧倒的にモンローの方で、彼女の歌う「Diamonds Are a Girl’s Best Friend」が本作のベストシーンであることは衆目の一致するところ。

この、ダイヤモンドを手に入れるためなら色仕掛けも辞さないというローレライは、男の目から見れば掛け値なしの悪女な訳であるが、そんな彼女を“正直者”という観点から無理やり肯定的に描いてしまい、しかも、それが十分な説得力を持ち得るというのは、脚本も巧いんだろうが、やっぱりモンローの魅力があればこそなんだろう。

まあ、ビリー・ワイルダーが監督&脚本を担当していたら、ラストでローレライと結婚するのはガスの父親のほうになっていたんじゃないかと思う訳だが、そこは保守派のハワード・ホークス、本作では“ダイヤモンド=結婚(指輪)”とちょっと強引にこじつけてラストも無難にまとめていた。

ということで、細かな状況説明が省かれていたり、予告編で見られた二人のダンスシーンがカットされていたりと、ホークスの演出&編集は全体の流れを最優先に組み立てられている訳であるが、まあ、素材がこってりしている分、モンロー作品にはこういった淡白な演出のほうが合っていたんじゃないかと思いました。