獲物の分け前

1966年作品
監督 ロジェ・ヴァディム 出演 ジェーン・フォンダミシェル・ピッコリ
(あらすじ)
パリ郊外の邸宅に住むルネ(ジェーン・フォンダ)は、歳の離れた実業家の夫アレクサンドル(ミシェル・ピッコリ)と彼の連れ子マクシムとの3人暮らし。元々、この夫婦はお互いの打算によって結ばれたものであり、愛の無い夫婦生活に退屈していたルネは、ふとした弾みで結ばれてしまったマクシムを本気で愛するようになる。一方、義母との関係が父にバレることを恐れるマクシムは….


引き続きジェーン・フォンダの主演作を観賞。

アレクサンドルの海外出張中、小旅行に出掛けたルネとマクシムの関係は一層親密になるのだが、帰宅して二人の関係に気付いたアレクサンドルは、何とそれを契機にルネへの真実の愛情に目覚めてしまう。まあ、海千山千のアレクサンドルのこと、この“真実の愛情”も二人への嫌がらせに過ぎない可能性大な訳であるが、戸惑いを隠せないルネは遂に彼女の方から離婚話を切り出すことになる。

原作は自然主義文学の大家エミール・ゾラということで、本来、19世紀が舞台のストーリーを現代に移し変えたのだろうが、当時と今とでは“女性の自立”を取り巻く環境が違い過ぎるため、同じ“男社会に翻弄される哀れな女”を描いたとしても、現代の我々の感覚からするとどうしても違和感が残る。

そもそも、ルネがアレクサンドルと結婚したのは“家を出たかったから”らしいのだが、19世紀ならともかく、現代であれば女性が自立する方法は他にいくらでも考えられるだろう。また、彼との離婚に際しても、ちゃんと弁護士に相談していればあんな不利な条件を一方的に飲む必要は無かった筈であり、何かルネが“哀れ”というよりも“愚か”に見えてしまう。

まあ、そうはいっても、公開当事29歳のジェーン・フォンダの美しさは圧倒的であり、これだけは間違いなく一見の価値がある。最初の、ちょっとあられもないレオタード姿による登場シーンから、最後のずぶ濡れで化粧の剥げ落ちた哀れな姿まで、何度かのヌードシーンを含め、可愛らしかった頃の彼女の魅力を堪能することが出来る。

ということで、彼女と監督のロジェ・ヴァディムとは1965年に結婚したばかりであり、当時、二人はアツアツの新婚状態だったことになる訳であるが、そんな新妻の姿をこんな形で世間に公開してしまう男の気持ちというのは、心の狭い俺にはちょっと理解しがたいところであります。