不良少女モニカ

1952年作品
監督 イングマール・ベルイマン 出演 ハリエット・アンデルセン、ラーシュ・エクボルイ
(あらすじ)
春の訪れを感じさせるストックホルム。陶器店で働くハリイ(ラーシュ・エクボルイ)は同僚の大人たちから冷く扱われ、弧独な日々を送っていた。そんなとき、レストランで声をかけてきた17歳の少女モニカ(ハリエット・アンデルセン)と付き合うようになり、彼等の仲は急速に接近。面白くない家庭や職場を抜け出し、彼は父親のモーターボートで彼女と二人きりの旅に出る….


随分と久しぶりに見たベルイマン作品。たぶん「ファニーとアレクサンデル(1982年)」以来だろうから、もう20数年ぶりということになる。

英語表記による原題が「Summer with Monika」ということからも判るとおり、本作の主人公はモニカとひと夏を過ごしたハリイ君の方。いたって平凡な若者である彼は、偶然知り合った奔放な性格の少女モニカから誘われるように、彼女と夢のような時間を過ごす訳であるが、夏の終わり(=モニカの妊娠)とともに現実の生活へと復帰せざるを得ないことになる。

まあ、案の定というか、妻&母親としての準備が全然出来ていないモニカとの新婚生活は悲惨な末路をたどる訳であるが、彼女がハリイの目の前に現れなければ、おそらく彼はそのまま平凡な(だけの)人生を送っていたに違い無い。そう考えれば、たったひと夏とはいえ彼女と過した夢のような一時は彼の人生にとってとても貴重な体験であり、決して後悔すべきだけのものとは言えないだろう。(と、平凡な(だけの)人生を送ってきた俺は深くそう思う。)

このモニカ役に扮するハリエット・アンデルセンは、公開当時20歳。顔つきには幼さが残るものの、どちらかというと骨太の身体つきは“少女”とは異なったイメージであり、むしろ一人前の女を感じさせる。彼女は、その後、ベルイマンの「叫びとささやき(1972年)」や「ファニーとアレクサンデル」にも出演していたらしいが、イングリッド・チューリンやリヴ・ウルマンなんかに比べるとちょっと印象が薄いです。

ということで、ベルイマンも若い頃は割とストレートな内容の作品を撮っていたことが解り、正直、ちょっと安心した。実は、これまで彼の作品を見たのは5、6本程であり、代表作と言われる「野いちご(1957年)」や「処女の泉(1960年)」も未だ見る機会に恵まれない。DVDも廃盤のようで、ヤフオクで探しても一枚1万円以上。どこかでもうちょっと安く再販していただけないものだろうか。