ドラゴン・タトゥーの女

2011年作品
監督 デヴィッド・フィンチャー 出演 ダニエル・クレイグルーニー・マーラ
(あらすじ)
大物実業家ヴェンネルストレムの不正を告発した記事が裁判で名誉毀損とされ、社会的信用を失ってしまったスウェーデン人ジャーナリストのミカエル(ダニエル・クレイグ)。そんな彼の元へ、老舗企業グループの元会長ヘンリック・ヴァンゲルから、迷宮入りになった40年前の失踪事件の再調査の依頼が舞い込む。姿を消したのはヘンリックの姪のハリエットであるが、彼は一族の誰かが彼女を殺害したと考えていた….


デヴィッド・フィンチャー監督によるベストセラー小説の映画化。

題名になっている“ドラゴン・タトゥーの女”というのは、途中からミカエルの調査を手伝うことになる女性リスベット(ルーニー・マーラ)のことであり、12歳の頃に父親を焼き殺そうとしたため精神病院に収容されていたという彼女は、成人した現在でも後見人を付けられている。

おそらく、今流行の発達障害系の問題を抱えているのだと思うが、その見返りともいうべき驚異的な映像記憶力や凄腕ハッカーとしてのテクニックだけでなく、高い身体能力も身に付けており、女だてらに(?)本作のアクション・シーンのほとんどを一手に引き受けてしまっている。その容貌も含めてとにかく興味深いキャラであり、本作の魅力の半分以上は彼女自身の魅力に負っていると言って良い。

一方、ストーリーの方であるが、登場人物、特にヴァンゲル一族の関係者の数が多く、とても覚えていられなさそうだったため、途中でDVDの再生を停止し、メモを作ったくらいなのだが、ナゾ解きの方は意外に単純であり、一族内の人間関係をすべて把握していなくても十分結末は理解できただろう。

まあ、このへんは、メモを取りながら見ることができない映画館の観客のためを思って、一部原作を簡略化してあるのかもしれないが、正直、親族間における骨肉の争いを予想してしまった俺にとっては少々期待ハズレ。終盤のヴェンネルストレム関連のエピソードを省略してでも、ナチ関係者も存在したというヴァンゲル一族の内幕をもっと詳しく描いて欲しかった。

ということで、原作となった小説にはまだまだ続きがあるとのことであり、デヴィッド・フィンチャーが監督を引き受けるかどうかは分からないが、本作の続編が作られる可能性も十分ありそう。また、本国スウェーデンで制作された三部作もあるらしいので、待ち切れない場合にはそちらを見るという手もありそうです。