ダーリング

1965年作品
監督 ジョン・シュレシンジャー 出演 ジュリー・クリスティダーク・ボガード
(あらすじ)
“ダーリング”こと美人モデルのダイアナ(ジュリー・クリスティ)は、その華やかな容姿で少女の頃からいつも周囲の注目の的。平凡な結婚生活に満足できないでいた彼女は、たまたま仕事で知り合ったTVジャーナリストのロバート(ダーク・ボガード)と愛し合うようになり、彼も妻子を捨てて同棲生活を始める。しかし、仕事熱心なロバートとの生活に退屈した彼女は….


ジュリー・クリスティがアカデミー主演女優賞を獲得した作品。

奔放な性格のダイアナは、この後、B級映画に主演→妊娠・中絶→青年実業家マイルス(ローレンス・ハーヴェイ)と浮気→ロバートとの破局→キャンペーン・ガールに抜擢→某公国の領主との出会い、という具合に数奇な運命を辿り、終いにはその領主の後添えとして、見事玉の輿に収まる。

まあ、一般的には絵に描いたようなサクセス・ストーリーということになるんだろうが、ダイアナ自身は必ずしもこのような成功を望んだ訳ではなく、周囲の男たちによって次から次へと差し出されるオファーを(あまり真剣に考えることなく)受け入れてきただけ、っていう感じ。最後に、自分が本当に愛していたのはロバートだったことに気付くんだけど、そのときはもう手遅れなんだよね。

才人のジョン・シュレシンジャーは、そんなダイアナの生き方をスタイリッシュな映像でとても魅力的に描いているんだけれど、何か本作の知的な雰囲気が彼女の愚かさを一層際立たせているようで、見ていてちょっと可哀想な気分になってしまうのが困りもの。やっぱり(?)、シュレシンジャーは美人にも容赦ないんだなあ。

主演のジュリー・クリスティは、同じ年に公開された「ドクトル・ジバゴ(1965年)」にも主演しており、個人的にはそっちの方が好みなのだが、まあ、主演女優賞ということならこっちの作品で間違いない。相手役は(後の)名優ダーク・ボガードであるが、この頃の彼はジェームズ・メイソンを善人にしたような印象で、そんなところがちょっと面白かった。

ということで、この年のアカデミー賞の作品賞部門には本作と「ドクトル・ジバゴ」の両方がノミネートされていたものの、受賞したのは名作「サウンド・オブ・ミュージック(1965年)」。要するに、ジュリー・クリスティは同作におけるジュリー・アンドリュースのあの熱演を押しのけて主演女優賞を獲得した訳であり、これはちょっと凄いことだと思います。