バットマン・ビギンズ

2005年作品
監督 クリストファー・ノーラン 出演 クリスチャン・ベイルリーアム・ニーソン
(あらすじ)
ゴッサム・シティの大富豪の家庭に育ったブルース・ウェインクリスチャン・ベイル)は、少年時代、目の前で両親が殺されるというショッキングな過去を持つ。彼は、人々を犯罪に導く“恐怖”の正体を理解しようと自らも犯罪に手を染め、刑務所に入れられるが、そこで「影の同盟」という謎の組織に属するヘンリー・デュガード(リーアム・ニーソン)と出会う….


今週末に公開予定の「ダークナイト(2008年)」の前編。「ダークナイト」の評判が良さそうなので、娘の了解が得られれば劇場に見に行きたいと考えており、その事前勉強のために家族で鑑賞。

バットマンについては、これまで幾種類もの映画やTVドラマ等が製作されているが、本作はその最新シリーズの第一弾。主人公のブルース・ウェインバットマンとして生まれ変わるまでの経緯と、その最初の敵である「影の同盟」との闘いを描いている。

まあ、俺としては昔TVで見ていたユル〜イ感じのバットマンが決して嫌いではないので、リメイクされる度にシリアスなムードが色濃くなっていくという風潮については、正直、複雑な思いがある訳であるが、この主人公のキャラクター設定が一定しないというあたりが、逆にいかにもバットマンらしい。

本作は、新シリーズ第一作目ということで“主人公の生い立ちを描かなくてはならない”等々の制約があるためか、決して完成度が高いとはいえない出来であるが、犯罪の裏側に存在する“恐怖”をテーマにもってきたあたりは慧眼というべきであり、このテーマが次の「ダークナイト」でどのように展開していくのか、なかなか興味深い。

しかし、スーパーヒーロー物としては、アクションにいま一つ特徴がない点は大きな弱点であり、本作のクライマックスシーンにおけるバットマンとデュガードの死闘についても、決着の付け方がちょっと物足りない。こんなことなら、途中でバットマンが使ったあの鳥寄せの術ならぬ、コウモリ寄せの術をこのクライマックスに持ってくれば良かったのにねえ。

ということで、残念ながら娘の評価もいま一つのようであり、「ダークナイト」に付き合っていただけるかどうかは微妙なところ。幸い、ハリー・ポッター・シリーズで彼女がファンになったゲイリー・オールドマンがなかなか味のある役で出演しているため、このへんを足掛かりに何とか説得してみたいと思います。