ブロードウェイのバークレー夫妻

1949年作品
監督 チャールズ・ウォルターズ 出演 フレッド・アステアジンジャー・ロジャース
(あらすじ)
ジョッシュ(フレッド・アステア)とダイナ(ジンジャー・ロジャース)のバークレー夫妻は、ブロードウェイで大人気のミュージカル・コンビ。私生活でも仲は良いのだが、完璧主義者のジョッシュの言動がしばしばダイナのプライドを傷つけるため、夫婦喧嘩も絶えない。そんなとき、彼女はパーティーで知り合った若き演出家から演技力の高さを褒められて….


フレッド・アステアジンジャー・ロジャースが約10年ぶりにコンビを組んだミュージカル映画

若くてハンサムな演出家から舞台女優への転向を進められたダイナは、それが原因でジョッシュと大ゲンカしたあげく、遂に別居状態へ。まあ、ラストではちゃんとヨリを戻すんだけど、実際、アステアとロジャースが「カッスル夫妻(1939年)」を最後に一旦コンビを解消したときも、ロジャースの演技派女優転向というのが原因の一つだった訳であり、このへんはちょっと楽屋オチ的なストーリーになっている。

ダイナが芸に厳しいジョッシュのことを「スヴェンガリ」と呼ぶシーンが何度かあるが、これはジョルジュ・デュ・モーリアという作家の書いた小説の登場人物のことで、魔力を使って惚れた女を自由自在に操るというキャラクター。ジョン・バリモアの主演で「悪魔スヴェンガリ(1931年)」という映画にもなっているらしい。

前年の「イースター・パレード(1948年)」で復活を果たしたアステアは、開始早々、タイトルバックでロジャースとの華麗なダンスを披露してくれる他、ソロでも「Shoes with Wings on」で特殊効果を使った楽しいダンスを見せてくれる。相手役のジンジャー・ロジャースも、全盛期に比べればやや落ちるのかもしれないが、彼女のダンスには独特の華があり、とにかく見ていてとても楽しい。

ということで、共演のオスカー・レヴァントがいたって真面目にクラシック曲(=ハチャトゥリアンチャイコフスキー)をピアノで演奏しているのも珍しく、ミュージカル映画としては耳に残るようなメロディを持った曲があまり見当たらないのがちょっと寂しいが、まあ、少なくとも見て損はない作品です。