2006年作品
監督 トム・ティクヴァ 出演 ベン・ウィショー、レイチェル・ハード=ウッド
(あらすじ)
18世紀のパリ。みなしごのグルヌイユ(ベン・ウィショー)は天性の驚異的な嗅覚の持ち主。青年に成長した彼は街で偶然に出会った赤毛の少女の放つ香りに魅了されるが、彼女の死と共にその香りも消え失せてしまう。失望した彼は、香りを永遠に留めておく方法を学ぶために香水の調香師に弟子入りするが….
同じプロデューサーの「薔薇の名前(1986年)」みたいな作品を期待していたんだけど、こっちは連続殺人事件をその犯人の側から描いており、動機はともかく犯行自体はいたって平凡であるため、残念ながらミステリイの要素は全くなかった。
中世を舞台にした見事な映像、大物俳優(=ダスティン・ホフマン&アラン・リックマン)や大勢のエキストラの起用、2時間を優に超える上映時間ってな具合に、なんか大作風の雰囲気は十分あるんだけれど、作品のテーマ自体は極めてマニアックであり、一観客としてその辺のギャップをどう消化すれば良いのだろう?
前半は、実の母親や仕事の親方といったグルヌイユに身近な人物が、彼との関係を絶った途端に次々と絶命するというギャグ(=まあ、グルヌイユ抜きには彼等の存在理由は無いという意味なんだろう。)があったので、以下コメディ風に話が展開していくのかとちょっと期待したんだけど、後半になると次第に作品の雰囲気は硬化していき、おバカなシーンが出てきても素直に笑えなくなってしまう。
しかし、美人の体臭が良い匂いだなんて話しは、どう考えたってまともじゃないんだから、もうちょっと軽妙な艶笑小話風にでも仕立て上げれば良かったんじゃないかなあ。まあ、製作したのがドイツで、監督があの理屈っぽいラブストーリー「ラン・ローラ・ラン(1998年)」の監督さんじゃあ、所詮無理だったんだろうとは思うけど。
ということで、元々体臭を誤魔化すために開発された筈の香水を体臭から調合するという点からして、とても不思議なお話し。話題となった集団乱交シーンも、残念ながら我が家のTV画面ではあまり迫力を感じられなかった。それと、あのラストシーンだけど、あれってグルヌイユは皆に愛されるあまり、食べられちゃったってことなんだよね?