ザ・タウン

2010年作品
監督 ベン・アフレック 出演 ベン・アフレックレベッカ・ホール
(あらすじ)
ボストンのチャールズタウンは全米でも屈指の強盗多発地区。そこで生まれ育ったダグ(ベン・アフレック)は、幼なじみのジェム等とチームを組んで銀行強盗を繰り返していたが、ある日押し入った銀行でちょっとした手違いがあり、支店長のクレア(レベッカ・ホール)を人質に取って逃走することになる。しかし、逃走終了後に解放した彼女が、後日、彼等と同じ街に住んでいることが分かり、彼等の脳裏を不安がよぎる….


ゴーン・ベイビー・ゴーン(2007年)」に続くベン・アフレック監督作品の第2弾。

しっかり者で頭も切れるダグはプロの銀行強盗グループのリーダー的存在であるが、一方では酒や薬を止め、この街を出て真面目に暮らすことを真剣に考えている。身辺調査のために正体を隠して近付いたクレアと愛し合うようになってしまった彼は、その考えを実行に移そうとするが、そんな彼の前に立ち塞がる思わぬ障害が“ザ・タウン”という訳。

昔から、悪い仲間から抜け出すのは難しいとよく言われるものの、本作の場合、ジェムをはじめとするグループの面々がダグのことを本当に友だちとして慕っているため、なおさら性質が悪い。まあ、最終的には、運(?)と実力ですべてのしがらみを断ち切ったダグは、見事“ザ・タウン”からの脱出に成功する訳であるが、彼との関係がFBIにバレてしまったクレアとの再会は、なかなか簡単にはいかないんだろうなあ。

さて、本作が2作目となるベン・アフレックの演出には、犯罪者を主人公にしているにもかかわらず、どこか前作と共通する瑞々しい正義感(?)のようなものが漂っており、これがなかなか心地よい。カー・チェイスや銃撃戦も上手く撮れているし、特に冒頭のスピーディーで無駄の無い銀行強盗シーンは、ダグの性格を良く現していると思う。

俳優としても相変わらず魅力的であるが、醒めたところと情熱的なところの使い分けがいかにもプロっぽいFBI捜査官を演じたジョン・ハムや、単細胞で少々有難迷惑的な友情が哀しいジェム役のジェレミー・レナーといった脇役陣も充実しており、そのあたりからベン・アフレックの人望といったものが仄かに伝わってくる。

ということで、脚本的に上手く整理できていないところが散見される等、完成度の面から言えばまだまだ不満な点も少なくないが、そんなところも含めて今後への期待は大きい。一体、次はどんな魅力的な作品を私達に見せてくれるのでしょうか。