1950年作品
監督 リチャード・ソープ 出演 フレッド・アステア、レッド・スケルトン
(あらすじ)
バート・カルマー(フレッド・アステア)は、ジェシー・ブラウンとのコンビで人気のタップダンサー。しかし、ダンス以外にも奇術や作詞、舞台の脚本など彼の興味の範囲は広く、そんなところがジェシーの悩みの種だった。そんなある日、バートの突然の怪我によりコンビは解消、彼は売れないピアニストのハリー・ルビー(レッド・スケルトン)と運命的な出会いを果たす….
有名なソングライター・チームであるバート・カルマー&ハリー・ルビーの伝記的作品。
最初、いきなりアステアとジェシーに扮するヴェラ=エレンのダンスシーンから始まるというサービス精神満点のお取り計らいは誠に有難いばかり。この後も数曲で二人のダンスが見られるんだけど、途中からアステア扮するバート君が足を怪我してしまうもんで、後半はダンスよりもドラマ部分のウェイトの方が大きくなってしまう。まあ、伝記映画ということで、それも“史実”なんだろうからしょうがないんだけどね。
でも、そのお陰でアステアの歌声を十分堪能できるのは思わぬ収穫。彼のヴォーカルは、ダンスと同様にまったく力みを感じさせず、サラッとしているようでなおかつ切れがある。う〜ん、こういうのを洒脱っていうんだろうなあ。兎に角、とてもカッコいい。
これに対し、彼とチームを組むハリー・ルビーのほうは、なんてったって演じているのがレッド・スケルトンということもあり、どうしても三枚目的な役回りになってしまう。実際のルビー氏がどんな人物だったのかは知らないけれど、この作品の公開当時はまだ御存命だったことを考えると、なかなか懐の深い方だったのだろうと推察される。
なお、作中ではバート・カルマーだけが映画の脚本なんかを執筆しているように描かれているが、実際はハリー・ルビーのほうも一緒に参加していたようであり、マルクス兄弟の「我輩はカモである(1933年)」は彼等二人の共同脚本になっている。
ということで、ラストでもう一曲、アステアとヴェラ=エレンのダンスが見られれば言うこと無しだったんだけど、まあ、無いものねだりをしていても仕方ない。その代りという訳ではないけれど、途中で「ザッツ・エンタテインメント(1974年)」で取り上げられていたデビー・レイノルズの“ププッピドゥー”が見られます。