田園交響楽

1946年作品
監督 ジャン・ドラノワ 出演 ピエール・ブランシャール、ミシェル・モルガン
(あらすじ)
雪深い山村に住む神父のジャン(ピエール・ブランシャール)は、みなし子になってしまった盲目の少女ジェルトリュード(ミシェル・モルガン)を引き取る。最初はまともに歩くこともできず、まるで獣のようであった彼女も、ジャンの献身的な努力の甲斐もあって、いつしか美しく聡明な娘へと成長していった。しかし、彼は、そんな彼女に対していつしか親子の愛情を超えた感情を抱くようになる….


アンドレ・ジイド原作によるフランス映画。

最初の方はとっても良い話しなんだけど、美しく成長したジェルトリュードが登場するなり、どこからともなく不安なムードが漂い始め、長らく海外留学に行っていたジャンの長男が帰ってきたあたりからは、もう夫婦、親子入り乱れたドロドロの愛憎劇へ・・・ってな感じで、フランス映画らしく、とてもイジワルな作品でした。

ジェルトリュードは“盲目”という設定なんだけど、画面に映る彼女の瞳はひときわ大きく見開かれており、これが美しいというよりも彼女の満たされぬ思いを訴えているようで、見ているほうに不安感を抱かせる大きな要因になっている。しかも、後半、そんな彼女が白内障の手術によって視力を取り戻すと、それを契機として、辛うじて保たれてきた家庭内の危ういバランスが一気に崩れ去り、悲劇的なラストへ。

この神父ジャンに扮するのは、「舞踏会の手帖(1937年)」にも出ていたピエール・ブランシャールで、厳格さと傲慢さの二面性を持ったキャラクターを見事に演じていた。一方、相手役のジェルトリュードに扮するのは、公開当時26歳のミシェル・モルガン。役の設定としては20歳前なんだと思うんだけど、危険というか、なんとも不安定な魅力に満ちた役柄で、個人的にはあまりお近づきになりたくないタイプでした。

ということで、作品としては評価するけど、正直なところ俺はこの手のドロドロが大の苦手。多分、もう二度と見ないと思います。