愛のむきだし

2008年作品
監督 園子温 出演 西島隆弘満島ひかり
(あらすじ)
敬虔なクリスチャンの一家に育った角田ユウ(西島隆弘)は、母の死後、神父となった父親から毎日懺悔をするよう強要されるが、“罪”と無縁な彼はそのために無理やり悪事を働くようになり、いつしか盗撮の世界へ足を踏み入れる。そんなある日、仲間との罰ゲームで女装して街に出た彼は、偶然、大勢の不良にからまれていた女子高生のヨーコ(満島ひかり)と出会う….


町山智浩氏が2009年映画ベストテンの第一位に推していた作品。

ヨーコを不良の手から救ったユウは、罰ゲームの続きということで、女装のまま彼女にキスをするのだが、そのときに名乗った名前がなんと“サソリ”。ヨーコはそんなサソリに恋心を抱くようになり、男として彼女に好かれたいと思っているユウは困ってしまう訳であるが、実はこのラブコメもどきの展開の背後には、ユウの父親の教会を傘下に収めようとする新興宗教団体“ゼロ教会”の陰謀が潜んでいた! という、まあ、なんともハチャメチャなストーリー。

この手のおバカ作品であれば上映時間は90分程度というのが常識なんだろうが、本作の上映時間は破格の237分ということで、とにかく長い。ユウとヨーコが出会って以降は、どこかで見聞きしたことがあるエピソードを、ご都合主義と言われても仕方ないような強引さで繋げ合わせた内容であるが、テンポの良い演出のおかげでとりあえず最後まで鑑賞することができた。

まあ、最初からリアリティなんて全く問題にしていない作品の故、おそらく現実の新興宗教団体や精神病院なんかを全く取材することなしに製作されているんだろうが、真面目な俺としては、カトリック新興宗教を信じていたり、また、変態などと呼ばれている方々にしても、実際はもう少し真面目に生活しているんだろうになあ、と少々の不快感を覚えてしまった。

ということで、要するに俺のようなオヤジの見るべき作品ではなかったということなんだろうが、以前拝見させて頂いた「紀子の食卓(2005年)」といい、どうもこの監督とはウマが合わない。確かに、ほとんど4時間に及ぶ作品を最後まで見通したという達成感のようなものはあるのだが、それだけではねえ。