呪いの血

1946年作品
監督 ルイス・マイルストン 出演 バーバラ・スタンウィックヴァン・ヘフリン
(あらすじ)
ペンシルバニアのアイバースタウン。厳格な伯母アイバース夫人との生活に嫌気がさしたマーサ(バーバラ・スタンウィック)は、唯一人の友人サム(ヴァン・ヘフリン)の助けで家出を企てるが失敗し、家に連れ戻されてしまう。その夜、マーサが自分の部屋で家庭教師の息子であるウォルターと話をしているところにサムが窓から忍び込んでくるが、その直後、マーサはふとしたはずみで叔母を階段の途中から突き落としてしまう….


引き続きバーバラ・スタンウィックの主演作品を鑑賞。

実業家でもあるアイバース夫人(ジュディス・アンダーソン!)は町一番の実力者なのだが、この事故(?)であえなく即死。一計を案じた家庭教師のオニールは、夫人が別の男に殺害されたと警察に虚偽の報告をし、秘密を共有することになったマーサを息子のウォルターと結婚させることに成功する。

それから18年後、事件直後に消息を絶ったサムが久しぶりにアイバースタウンを訪れてくるのだが、今や大実業家&地方検事となったマーサとウォルターの夫婦は、サムが18年前の事故をネタに彼等を強請に来たのではないかという疑いを抱き、ここから三すくみの愛憎劇が展開する。

まあ、この“事故”に関してはマーサに殺意があったとは思えないのだが、その後、夫人殺害の容疑者として逮捕された無実の男を、検事となったウォルターがマーサの偽証を根拠に有罪(=死刑)にしてしまったのが致命的。本来、小心者であるウォルターは、罪悪感から酒浸りとなってしまうのだが、そんな彼を演じているのが本作が映画デビューとなるカーク・ダグラス

一方、サムに扮するヴァン・ヘフリンは、さすらいのギャンブラーというキャラクターをちょっとハードボイルド風に演じており、これがなかなかカッコいい。名作「シェーン(1953年)」のスターレット役をはじめ、名脇役といったイメージの強い俳優さんであるが、主役としても十分通用する人だった。

ということで、(前作に引き続き)オカルト物まがいのヒドい邦題が付けられた作品であるが、内容の方はしっかりしている。肝心のバーバラ・スタンウィックの出番が少ないのが少々不満であるが、これだけ複雑なストーリーを、回想シーンを一度も使わないでシンプルにまとめ上げた脚本担当のロバート・ロッセンの実力は流石です。