大帝の剣

どろろ」、「蟲師」と邦画で二連敗中にもかかわらず、娘の希望もあって「大帝の剣」を家族で見に行った。原作が夢枕獏で主演が阿部寛ということで大体内容は想像がついたんだが、果たして想像どおりの作品でした。

おそらく、原作では宇宙人同士の戦いの背景や天草四郎と豊臣家の関係等々、もう少し複雑な関係の描写があったのだと思うが、映画のほうではそういうのはぜーんぶ取っ払ってしまって、悪い宇宙人(って、なんでこっちが悪いって判ったんだろう?)と阿部ちゃん扮する万源九郎の戦いに的を絞って作ってあるので、とても解りやすい。

その上、ご丁寧にも江守徹による解説まで付いてくるんだから、まさにサービス満点といったところで、唯一、ラストが「2001年宇宙の旅(1968年)」っぽくなっているあたりがやや意味不明であったが、まあ、いずれにしても大した意味はないと思うので、気にもなりません。セットは安普請だし、CGやワイヤーアクションも二流品なんだが、まあ、この安っぽさも狙いのうちというのであれば、致し方ないでしょう。

主演の阿部寛は、立ち姿はなかなかカッコいいんだが、いつもの優しさが前面に出てしまったのはやや残念。こういう作品なんだから、もっと滅茶苦茶な演技をさせてもよかったのではないか。また、気弱な忍者役の宮藤官九郎はこの安っぽい雰囲気にぴったりだったが、ヒロインの長谷川京子はお姫様女優としては、正直、フケすぎだろう。同じ“キョウコ”なら深田恭子のほうにして欲しかったです。

ということで、ストーリーに深みも何にも無く、娯楽大作と呼ぶにはあまりにもお金がかかっていない作品ではあるが、最初からあまり期待していなかったし、「どろろ」と「蟲師」を見た後ということもあって、まあ、これはこれで良かったことにしましょう。阿部ちゃんファンの娘も一応満足していたようだしね。(でも、続編は無理だろうなあ。)