ボーダーライン:ソルジャーズ・デイ

2018年
監督 ステファノ・ソッリマ 出演 ベニチオ・デル・トロジョシュ・ブローリン
(あらすじ)
国内で自爆テロが続発し、犯人はメキシコの麻薬カルテルの助けによって不法入国した可能性が高いと判断した米政府は、当該カルテルをテロ支援組織に認定し、CIAのマット・グレイヴァー(ジョシュ・ブローリン)にその殲滅を指示する。彼は、組織の内部抗争を引き起こすため、かつての相棒アレハンドロ(ベニチオ・デル・トロ)等と一緒にカルテルのボスの娘を誘拐し、それを別のグループの仕業に見せかけようとするが…


とっても怖かった「ボーダーライン(2015年)」の続編。

前作を見てから半年弱、ようやく“テイラー・シェリダン・ロス”の渇望が“嘆きの検察官の恐怖”を上回るようになったため、続編にチャレンジ。当然、前作の終盤で主役の座をアレハンドロに奪われてしまったFBI捜査官のケイトは全く姿を見せず、最初から“人殺しOK”の違法ミッションが全力で繰り広げられる。

といっても、監督がドゥニ・ビルヌーブから変更になっているせいか、前作の胃をキリキリさせられるような緊張感はやや抑えられており、ちょっぴり余裕を持ってストーリーの妙味を味わうことが出来るのは(個人的には)とても有り難い。

さて、前作でも“主役の切替え”という大胆な仕掛けに腰を抜かされたところだが、本作にもそれに負けないくらいの急展開が終盤に用意されており、それは麻薬カルテル殲滅を指示した政府の方針転換。どうやら、後日、自爆テロと麻薬カルテルは無関係だったことが判明したらしく、政府は“証拠隠滅”のために誘拐した少女と彼女を保護しているアレハンドロの抹殺をマットに命令する。

前作では、FBI捜査官ケイトの遵法意識がアレハンドロやマットの執念の前に脆くも崩れ落ちていく様が描かれていたのだが、そんな彼らの執念でさえ、権力者の保身=権力欲の前では力を失ってしまう。おそらくそれは“大量破壊兵器”のデマを信じてイラク戦争を戦った米国民のトラウマへの挑戦なのかもしれない。

ということで、本作のストーリーは完結しておらず、米政府と対立することになってしまったアレハンドロの行動は次回作で描かれる予定。自分の本当の敵はホワイトハウスに居ることを知ってしまった嘆きの検察官が、この後いったいどんな決断を下すのか、今のうちから見るのがとても楽しみです。