夫婦で富士山

今日は、妻と一緒に富士山を歩いてきた。

昨年は諸般の事情により見送りになってしまった妻の富士登山。今年こそは何とかしようということで5月早々に富士スバルライン五合目にある「富士急雲上閣」を予約し、その後は2週間に1回程度の山歩きで彼女の体調キープに努めてきたのだが、その甲斐あって、無事、挑戦の日を迎えることが出来た。

昨晩お世話になったカプセルホテル形式の宿は、まあ、大満足とは言えないものの、富士山の5合目より上で庶民がこれ以上の快適性を望むのは無理であり、午前2時に起床して山歩きの準備に取り掛かる。上りのコースタイムに休憩時間(=計60分)を加えた我が家の所要見込時間は7時間10分であり、(9年前に俺が一人で歩いたときと同様)3時に出発すれば10時10分には山頂に到達できる見込みである。

さて、朝食を菓子パンのみで簡単に済ませてしまったため、予定より早い2時39分に歩き出す。こんな時刻でも富士登山の受付体制に抜かりはないようであり、二人分の保全協力金を支払い、登山届を提出してから真っ暗な山道へ。とはいっても上空は晴れており、沈みかけのオリオン座等を探しながら意識してのんびり歩いて行く。

泉ヶ滝分岐(2時57分)を経て六合目の安全指導センター(3時21分)を過ぎると、いきなりブル道に進んでしまうというポカをやらかすが、間もなく9年前のかすかな記憶との相違に気付いて途中から正規の登山道に復帰。我々のすぐ後を付いてきた三人組にはちょっと悪いことをした。

4時33分に七合目にある花小屋に着くが、日の出までにはまだ時間がかかりそうであり、立ち止まっているととても寒いので、一つ先の日の出館まで移動して4時53分にご来光。すぐ隣に見えるヒコーキ雲とのバランスが絶妙だなあと喜んでいると、その山小屋に宿泊していたと思われる大規模な団体さんの出発時刻に重なってしまい、仕方がないので溶岩でゴツゴツした登山道を彼らに混じって超スローペースで上っていく。

幸い、(多分)2つ先の山小屋のところで団体さんが休憩に入ったので、その間隙を突いて彼らの前に出ることに成功。すっかりペースを狂わされてしまったと思っていたが、八合目にある太子館に着いたところで時刻を確認するとまだ6時24分であり、逆に予定を数分上回っている。う〜ん、富士山のコースタイムってかなり甘々なんだなあ。

まあ、何はともあれ、あの団体さんに追い越されないようにすれば好いんだということが分かり、心に余裕が湧いてくる。本8合目の富士山ホテル(8時00分)のベンチに座って妻の状態を再確認するとまだまだ余力は十分そうであり、うん、これなら問題ないだろう。山小屋で購入した温かい甘酒(=缶入りの奴)でパワーを補充し、改めて山頂を目指す。

さて、八号五勺(8時38分)を過ぎる頃には妻の表情にも疲れが見えてきたが、九合目(9時13分)に着いてしまえば、もう山頂は目の前。鳥居のところで前のグループと記念写真を撮り合ったりしていたので少し遅れてしまったが、無事、10時10分(!)に「冨士山頂上浅間大社奥宮」の石柱の前に立つことが出来た。

晴天の山頂は多くの登山者で埋め尽くされており、我々もそれに混じって写真を撮ったり、自宅へ郵便を出したり、お守りを購入したりして“観光気分”を満喫。単独のときには近づかなかった売店にも入ってみたが、「扇屋」で食したカレーうどんと豚汁の味はなかなかのものであり、うん、これが富士山の正しい楽しみ方なんだろう。

最初から剣が峰を目指すつもりはないので、ゆっくり休憩した後、11時42分に下山に取り掛かる。夫婦共に上るより下る方が苦手ということで、のんびりマイペースで歩いて行く妻の後に付いて下江戸屋分岐(12時39分)〜七合目トイレ(14時22分)〜六合目安全指導センター(15時17分)と進み、16時1分に五合目まで戻ってくる。本日の総歩行距離は16.1kmだった。

さて、コインローカーに預けておいた荷物を回収したついでに富士急雲上閣のレストランで乾いた喉を潤し、最後の買い物を済ませてから17時発のバスに乗る。その後、富士北麓駐車場に止めておいた愛車に乗って「溶岩の湯 泉水」に向い、そこで汗と埃を洗い流してから帰途につく。例によって小仏トンネル手前で渋滞に巻き込まれたものの、無事、22時過ぎに帰宅することが出来た。

ということで、登頂成功率は五分五分かなあと思っていたのだが、気象条件に恵まれたのと妻の頑張りのおかげで、見事、夫婦して富士山のてっぺんに立つことが出来た。彼女の次の目標は“まだ考える気になれない”そうであるが、俺としては人気の唐松岳周辺を二人してのんびり歩いてみたいと思っています。