楽しい奈良旅行もいよいよ最終日。今日は、長谷寺にお参りしてから奈良市内に戻り、6年前に回れなかった寺院を時間が許す限り見て回る予定である。
さて、朝一番で訪れた長谷寺は、重文の仁王門が修理中のためにほとんど見えないという波乱の幕開けとなったが、それに続く登廊の構造がとても面白く、アッという間にその魅力の虜になってしまう。
京都の清水寺にも負けないような舞台が付いている本堂も、国宝というだけあってとても立派な建物であるが、現在はその中に安置されているご本尊の十一面観音像の春期特別拝観期間中。拝観料を支払って手首にミサンガのようなものを巻いてもらうと、仏像のおみ足に触れながら願い事をすることが出来るのだが、全長12mの巨像の迫力に圧倒されてしまい、何をお願いしたのかすっかり忘れてしまった。
その後、五重塔や源氏物語にも登場するという“二本(ふたもと)の杉”等をゆっくり見学してから長谷寺を後にするが、山の斜面を利用しながらも開放的な雰囲気に溢れた伽藍配置は“陰”のイメージが強かった室生寺とは好対照であり、昔から人気が高かったというのも十分理解できる。
奈良市内に戻ってからの最初の目的地は、妻からリクエストのあった法華寺。専用駐車場があるとのことだったが、近くまで来てみるとお寺の周囲は大勢の参拝客(?)でごったがえしており、仕方ないのでちょっと離れたところにある平城宮跡の駐車場に車を止めて歩いていくことにする。
間もなくその集団と合流するが、その持ち物等から彼等は参拝客ではなく、ウォークラリーかなにかの参加者であることが判明。恐れていた行列待ちもなく、やはり春期特別開扉中である国宝十一面観音像をすんなり拝むことが出来たが、あまり近くに行けない上に厨子の中に収められているため、期待していた精緻な光背があまり良く見えなかったのが残念だった。
お隣の海龍王寺のご本尊も十一面観音像であり、こちらは重文であるが、とても丁寧に作られていてなかなか悪くない。国宝の五重小塔は西金堂というところに安置されているが、割に無造作に置かれているのでちょっとビックリ。撮影禁止の表示もなかったので、ありがたく写真に収めさせて頂いた。
その後、平城宮跡の駐車場まで引き返し、俺は吉野で購入した柿の葉寿司を、光りモノが苦手な妻はコンビニのドーナッツを頬張りながら一休み。周囲では大勢の家族連れが晴天に恵まれた休日を思い思いに楽しんでおり、遠くには大極殿が見えるということで、6年前に娘と一緒に訪れたときのことを懐かしく思い出した。
さて、今回の奈良旅行の最後を飾るのは西大寺。かつては南都七大寺の一つだったということで、本堂の前に残る東塔跡など往事を偲ばせる遺構も残っている。本日4度目のご対面となる四王堂の十一面観音像や本堂の善財童子像等、なかなか優れた仏像が揃っているのが印象的だった。
ということで、3日間お世話になったレンタカーを返却し、来たときとは逆のルートで無事帰宅。貧乏性の俺らしいなかなかハードなスケジュールだったが、とりあえず今回見たかったものは全て見ることが出来たので個人的には非常に満足度の高い内容だった。文句も言わずに同行してくれた妻にも感謝したいと思います。