冬の京都旅行(第2日目)

今日は、鞍馬寺貴船神社を観光した後、18時21分発のぞみ44号に乗って帰宅する予定。

他の有名寺院からちょっと離れていることもあって、なかなか訪れる機会の無かった鞍馬寺貴船神社。年末に帰ってきた長男から彼女さんと一緒にお参りしたという話を聴取し、ちょうど興味が再燃していたところだったので、今回の冬の京都旅行のメインイベントに採用させて頂いた。

さて、午前7時前にホテルをチェックアウトし、昨日と同じく四条河原町銀閣寺行の市営バスに乗って出町柳駅に移動。そこから7時45分発の叡山電車(=展望列車になっている!)に乗り込み、窓向きに設置されたシートから車窓の風景を楽しみながら8時15分に終点の鞍馬駅に着く。

まだ早いせいか、新型コロナウィルスの影響かは不明だが、観光客の姿はまばらであり、駅舎前に設置された大きな天狗のお面の前で記念写真を撮ってから観光スタート。最初の目的地である鞍馬寺は駅からすぐであり、8時22分に立派な仁王門を潜る。しかし、本殿金堂まではその先に続く長~い石段を上って行かなければならず、これが一苦労。

“日本一短い鉄道”が売りのケーブルカーも整備されているが、勿論、我々は自分の足で上ってくことを選択し、魔王の瀧や鬼一法眼社を眺めながら8時30分に由岐神社。毎年秋に行われる「鞍馬の火祭」で有名な神社だが、シーズンオフの今は人影も少なく、ひっそりと静かな佇まいを見せている。

さらに斜面を上って行くと貞明皇后の行啓に関係する施設がいくつか出てくるが、それが行われたのは大正13年1924年)のこと。原武史の「昭和天皇」に「貞明皇后は、大正天皇の脳病が悪化する大正末期から、法学者の筧克彦が提唱する『神ながらの道』にのめり込み…」という記述があるが、ちょうどその頃のことなのかもしれない。

そんなことを妻と話しながら歩いていくと、ようやく8時55分に本殿金堂に到着。中にも入れるので順路に従ってゆっくり見て回ったが、昭和46年に再建された“現代建築”ということで有難味は希薄。次は、奥の院魔王殿を目指して「奥の院道」の石柱が立っている石段(9時12分)を上る。

もっと山道っぽいのかと思い、妻も俺もトレラン用の靴を履いてきたのだが、さすがに国際的な観光地ということで参道はきちんと整備されており、9時25分に牛若丸ゆかりの背比べ石に到着。その隣には鞍馬山(584m)の山頂へと続くルートが伸びているのだが、倒木等のせいで今は通行止めになっており、仕方がないので義経堂(9時36分)を経て9時43分に奥の院魔王殿に着く。

これで鞍馬寺は一応コンプリートであり、その先の長~い下り坂を歩いて10時4分に西門まで下りてくる。次の目的地である貴船神社貴船川を渡ってすぐであり、赤い灯篭がきれいな石段を上って10時11分に本宮に着く。縁結びの神として有名なため、カップルを含む若い女性の姿が目立つが、妻も果敢に「水占みくじ」に挑戦したところ、判定は“吉”(=争わぬようにすべし)という無難な結果だった。

その後、貴船川沿いの車道を辿って奥宮(10時36分)のお参りを済ませると、そろそろ空腹を覚えるようになってきたため、「ひろ文」というお店に入って腹ごしらえ。夏場は川床での流しそうめんが名物らしいが、今日は川音を聞きながら「ぼたん御膳(@4000円)」と「手づくり豆腐膳(@3000円)」でちょっぴりリッチな昼食をゆっくり楽しんだ。

さて、ご主人からの“もう少し待ってもらえば車でお送りします”という申し出を丁重にお断りして、食後は川沿いを貴船口駅まで歩いていく。途中にバス停もあったが、まあ、道は下り基調なので大した苦労にもならず、12時8分に駅に到着。鞍馬駅からここまでの総歩行距離は7.4kmだった。

3番目の目的地は上賀茂神社であり、叡山電車市原駅で途中下車して市原駅前から北大路バスターミナル行の京都バスに乗る。上賀茂神社前のバス停で降りると周囲に神社らしきものが見当たらないためちょっとウロウロしてしまうが、人の多そうな方向に歩いていくと間もなく赤い大きな鳥居(12時50分)が目に入る。

そこに入って広い境内を歩いていくと二の鳥居の脇に「第42回式年遷宮」の看板(?)が立っており、へえ~、ここも建替え中なのか。しかし、ちょうど行われていた「国宝・本殿特別参拝とご神宝の拝観」に参加したところ、今の「式年遷宮」というのは移築ではなく、改修の意であるとの説明があり、今回は社殿の桧皮屋根の葺替えがメインとのこと。

そんな説明が終わると、普段は入れない内庭に案内してもらい、そこから国宝の「権殿」を見学した後、現在工事中の社殿に誘導される。ヘルメットをかぶって工事用の足場に上ると、葺き替えたばかりの桧皮葺の屋根を間近に見ることが出来、ちょっと感動。ちなみに工事費総額は23億円だそうであり、う~ん、田舎の社寺ではとても賄えない金額だろう。

さて、最後の目的地は、現在、JR東海のテレビCMに使われている大徳寺。今度は、四条河原町平安神宮行の市営バスに乗って今宮神社前で降車し、そこから歩いて14時23分に大徳寺に着く。恥ずかしながら、テレビCMで見るまで名前も知らなかったのだが、訪れてみるととてもスケールの大きな大寺院であり、やっぱり京都は奥が深いなあ。

最初に案内されるのは国宝の方丈であり、そこに座って白砂が美しい石庭を見学。方丈内の襖絵は狩野探幽の作なのだそうだが、中に入れないので近くから見られないのがちょっと残念。しかし、次の法堂の天井には同じ探幽作の「雲龍図」が力強く描かれており、先ほどの不満はあっという間に解消してしまう。最後の唐門も国宝に指定されているそうであり、日光東照宮の陽明門より気品が感じられるのがちょっと羨ましい。

以上で今日のスケジュールはすべて完了であり、大徳寺付近でちょっと買い物をしてから市営バスに乗って北大路バスターミナルに向かい、そこで地下鉄に乗り換える。まだ時間があるので、欲張ってもう一か所観光しようと五条駅で途中下車してみたが、バスを待っている間に所要時間を計算したところお土産を買う時間が無くなってしまうことが判明。

一人で留守番をしている娘へのお土産は必須であり、観光は諦めて京都駅に向かい、駅ビル内にあるJR京都伊勢丹で甘味類を中心に大量のお買い物。最後は「菓子のTASHINAMI」というお店に入ってコーヒーとケーキ等でのんびり休憩し、二人して“やっぱり最後の観光を諦めたのは正解だったねえ”と自画自賛

ということで、予定どおり18時21分発の新幹線に乗って無事帰宅。とても楽しかったというのが素直な感想であり、今回、誘ってくれた妻には心から感謝申し上げたい。ちなみに、個人的には京都一周トレイルの足跡を比叡山まで伸ばすことが出来たのが大きな成果だが、やはりこれに妻をつき合わせるのはちょっと無理であり、3回目の予定を立てるのはなかなか難しそうです。
f:id:hammett:20200222080348j:plain