深夜バスで京都旅行

今日は、というか、正確には昨日から明日までなのだが、0泊3日の日程で妻と一緒に京都旅行に行ってきた。

そもそもの発端は地元のローカルTVで放映中の「水曜どうでしょう」であり、この番組の目玉企画の一つである「サイコロの旅」を見ていて、俺が年甲斐もなく“深夜バス”なるものに興味を抱いてしまったのが事の始まり。最初は冗談半分だったのだが、調べてみると京都行ならちょうど良いバスがあることが判明し、目的地が決まってしまえば話は急速に現実味を帯びてくる。

京都なら暑くなる前が良いので、今週の火曜日に5月29日発でネット検索してみたところ満席で予約は出来ず、ではその一週間前ならどうかと再度検索したところ、何とまだ空きがある。スマホを操作していた妻が“本当に予約していいか”と尋ねてくるので、俺が“もちろん”と答えた結果、急遽、0泊3日の京都旅行に出掛けることになってしまった!

さて、あまり準備期間がとれなかったので、いつものように周到な計画は立てられなかったが、まあ、妻と二人なので何とかなるだろう。とりあえず、修学旅行等で訪れたことはあるものの、ほとんど記憶に残っていない超定番の観光名所を巡ることにして、金曜日の午後10時過ぎ(=バスは予定よりかなり遅れて到着した。)に憧れの(?)深夜バスに乗り込んだ。

座席は2階の3列シートのB席とC席であり、座り心地(=寝心地?)は、まあ、こんなもんだろう。緊張していたせいもあってなかなか眠れなかったが、スマホで動画や音楽を楽しんでいるうちにいつの間にか眠ってしまったようであり、土曜日の午前6時20分頃に京都駅に着いたときには意外に元気だった。

ところが、妻の方は深夜バスに“ヤラレてしまった”ようであり、ちょっぴり辛そうな様子。帰りのバス停の場所を探すのに手間取ってしまったが、その近くのコインロッカーに着替え等の荷物を預け、身軽になって、いざ、観光に出発。

最初の目的地は蓮華王院三十三間堂であり、京都駅からバスで行ける。ずらっと並んだ千手観音像はなかなかの迫力であり、一体一体の表情が微妙に異なっているのも面白い。ゆっくり見ているうちに妻の体調も回復したようであり、長〜いお堂の外周をぐるりと一周してから次の目的地に向かう。

2番目の目的地は臨済宗大本山南禅寺であり、京阪本線から東西線に乗換えて徒歩10分くらい。おそらくここに来るのは今回が初めてだと思うが、三門や水道橋といったように見所は多彩であり、極めつけの方丈庭園も非常に素晴らしい。次のバス停に向かう途中、NHKの「ブラタモリ」でも取り上げられていた琵琶湖疎水の蹴上インクラインを見学することが出来た。

3番目の目的地は慈照寺銀閣寺)であり、ちょっと歩くが南禅寺からバス一本で行ける。途中で軽く昼食を済ませ、土産物屋が建ち並ぶ参道を上っていくと境内はそれなりの人混みであり、修学旅行の生徒等に混じってゆっくり見学。意外に広い庭園はきれいに整備されており、なかなかの趣であった。

4番目の目的地は鹿苑寺金閣寺)であり、ここもバス一本で行けるが、道が混んでいたために30分以上かかったと思う。境内の混雑は銀閣寺以上であり、特に外国人観光客の姿が目立つ。青空を背景にした金閣寺はとても華やかであり、確かにパッとみたときのインパクトは強いのだが、その後の見せ方としては銀閣寺の方が上手だと思う。

5番目の目的地は大雲山龍安寺であり、きぬかけの路(=沿線の飲食店や土産物屋は意外に少ない。)を歩いて行った。有名な石庭は記憶していたものよりもちょっと小さ目だったが、ちょうど最前列が空いたのでそこに座ってゆっくり鑑賞。銀容池の紅白の蓮の花がちょうど満開であり、こちらもとても綺麗だった。

6番目の目的地は百丈山石峰寺であり、バスで40分くらいかけて四条京阪前まで移動し、そこから京阪本線を利用した。正直、ここまで体力は保たないだろうと最初から半分諦めていたのだが、妻の頑張りのおかげで念願だった若冲五百羅漢を見ることが出来た。最後は若冲のお墓にお参りして今回の予定は全て完了。

といってもまだ午後4時半であり、全然明るいので、お隣の伏見稲荷大社まで歩いていく。普通のお寺は午後5時までしか開いていないが、ここの名物である千本鳥居はいつでも見学自由ということで境内には沢山の観光客が押し寄せていた。今回は三ッ辻までで引き返してしまったが、次の機会があれば稲荷山の頂上まで上ってみたい。

その後、JR奈良線とバスを乗り継いで八坂通まで移動。八坂の塔を眺めながら二年坂、三年坂界隈をブラブラ歩いて夕食を取るお店を探してみたが、まだお腹が空いていないのでなかなか決まらない。仕方ないので一度京都駅まで引き返そうとバス停まで歩いて行ったが、バスもバス停も満員で簡単には乗れそうに無い。ここは最後の踏ん張りと清水五条駅まで頑張って歩き、京阪本線JR奈良線を利用して京都駅まで戻ってきた。

実は、いつもの山歩きの習慣(?)で今回も日帰り入浴の用意をして来ており、京都タワーの地下3階にある大浴場で汗を流し、身も心もスッキリさせてから駅ビルの地下でお蕎麦の夕食。正直、地元で食べた方がずっとおいしいと思ったが、まあ、これも貴重な経験であり、駅の構内でソフトクリームを食べながら休んでいると、いつの間にか帰りのバスの時刻(=午後10時3分)が近づいている。

帰りは二人とも二階のA席であり、隣が通路ではないのでちょっぴり窮屈な感じかなあ。最初はウトウトしていたのだが、その後、何故か目が冴えてしまい、スマホの動画を見ながら暇つぶし。日曜の朝6時半頃に無事地元のバス停まで戻ってくることが出来た。

ということで、深夜バスを使っての京都旅行は大成功と言いたいところだが、少々バス酔いの気配のあった妻の意見は“二回目は当分ご遠慮します”とのこと。確かに、効率的ではあるものの、車内での会話や途中でのショッピングといった楽しみが得られないのは大きなマイナスポイントであり、おそらく次回は普通のバス旅行になるものと思われます。