白馬岳〜朝日岳(3日目)

最終日の今日は、再度、朝日岳に上ってから五輪尾根を下って蓮華温泉に下山する予定。

午前2時半頃から、俺のテントの後ろに陣取っていたお行儀の良い高校生の集団(=おそらく登山部の合宿だろう。)が行動を開始したので、それに合わせて俺もテントの撤収作業に取り掛かる。実は、昨日のテント場情報によると本日の天気予報は雨らしく、出来れば降り出す前に蓮華温泉に着いてしまいたいという計算である。

さて、準備を整えてテント場を出発したのは4時丁度のこと。まだ暗いため、ヘッドライトを装着しての歩きになるが、昨日一度歩いている道なので全く不安は無い。二度目となる朝日岳(4時49分)に着く前には周囲が明るくなってきたため、山頂でヘッドライトをザックに収納して早々に再出発。

山頂の向こう側は緩やかな下り斜面であり、次第に風が強くなっていく中を足早に下っていくが、いくらも進まないうちにとうとう雨が降り出してしまい、吹上のコル(5時16分)のベンチのところでレインスーツの上下を身に付ける。この頃から足早な二人組の男性とご一緒するような形になり、彼等と前後しながら雪渓や雨水で沢のようになった岩場をいくつも通過していく。

しばらくすると先行していた二人組が沢の手前で急停止。よく見ると、登山道はその沢(=普段ならほとんど水の流れは無いのだろう。)を4、5m下るような形で続いているのだが、降り出した雨がその沢を濁流となって流れているため、容易には流れに踏み入ることが出来ない状況になっている。

しかし、水深は膝まで無いようであり、靴の中に水が入ってしまうのを覚悟すれば何とかなりそうということで、躊躇う二人組を残して流れの中へ。途中、深みにはまってヒヤッとしたが、濡れて困るような物は全てビニールにくるんであるので心配無用。案の定、靴の中はびしょびしょになってしまったが、無事、濁流を抜け出すことに成功した。

このような難所がこれからも頻出するようだったらどうしようと少々不安な気持ちで歩いていると、花園三角点(6時58分)を過ぎた先で反対側から歩いてくる男性と遭遇。この先のルートの状況を尋ねると、特に歩けないような場所は無いという心強い回答であり、ホッと一安心して7時55分に白高地沢着。途中で追い越していった例の二人組(=あの濁流は靴を濡らさずにクリアしたそうである。)が休憩していたが、この先、駐車場に着くまで彼等に追い付くことは出来なかった。

さて、朝日岳からここまでほぼ一貫して下り斜面が続いていたが、白高地沢の立派な橋を渡るとアップダウンが始まり、瀬戸川(8時48分)の先からは上り斜面の連続。激しい雨の中ということで、ここまで休憩らしい休憩も取らずに歩き続けてきたため、両足にはかなりの疲労が蓄積されていたようであり、急斜面の途中で思わず座り込んでしまう。

傘も持っていたのだから、もっと良い場所でしっかり休憩を取っておけば良かったと後悔するが、もはや後の祭りであり、重い体を引きずって9時39分に兵馬の平。この先からは傾斜も緩やかになるので、木道に滑らないように気を付けながらアヤメ平〜鉱山道分岐(10時13分)と歩いて、10時31分に駐車場まで戻ってきた。本日の歩行距離は13.0kmであり、3日間の合計は38.3kmだった。

ということで、天気に恵まれたとは言い難いものの、予定どおり2泊3日の縦走(といって良いのかな?)を無事終了することが出来、まずは大満足。最後は雨中の強行軍となってしまったが、スマホをはじめとする電子機器の被害も無く、ほぼ無傷で帰ってこられたのは、昨年、表銀座縦走を失敗した経験が活かされたのだと思います。

なお、例によって今回の反省点等を備忘録としてメモしておく。
1 白馬岳は見るのも登るのも素晴らしい山であり、次回は是非とも妻を連れて行きたい。最初の日は白馬大池山荘に泊まり、翌日山頂を踏んだ後に白馬山荘で二泊目。3日目は下りてくるだけというスケジュールであれば十分彼女にも楽しんでもらえると思う。
2 今回の最大の反省点は、歩くのを急ぎ過ぎるということ。折角余裕を持ったスケジュールを立てたのに、“疲れるまで歩き続ける”といういつものスタイルではその余裕を楽しむことが出来ない。特に夏場のテント場は昼寝には不向きなため、到着時刻を少し遅らせるということも考慮すべき。
3 2とも関係するが、2日目も3日目もバテてしまったのは長い下りの後の上りであり、それを防止するためには下りの途中できちんと休憩を取ることが必要。一番良いのは、計画を立てる段階で休憩に適した場所を探しておくことであり、当日は、疲労の程度に関係なく、そこで休憩するようにすべきである。
4 今回は距離が短かったので実際の問題にはならなかったが、雨中の歩きは汗をかくために水分の消費が意外に激しい。途中の水場を利用しようにも、その水が雨水になっている可能性が高いため、炎天下を歩くのと同じくらいの準備が必要だろう。
5 村営頂上宿舎ではテント受付のちょっと上で何とかメールが通じたが、朝日小屋では全くダメだった。一番良好だったのは白馬岳の山頂であり、添付ファイル付きでも何の問題も無し。雪倉岳では試してみなかったが、朝日岳はダメだったと思う。