今日は、山歩きを始めた頃から行ってみたかった白馬岳に出発する日。
この山には猿倉方面から大雪渓を縦断して登るのが一般的なのだが、事前学習によると、大雪渓で遭遇するかもしれない落石がマジで危険そう。何でも、雪上の落石は音を立てずに猛スピードで滑り落ちてくるそうであり、晴天ならともかく、ガスで視界が悪いようなときにそんな物に出会ったら、とてもじゃないが避けられる自信はない。
そこで目を付けたのが、反対側の蓮華温泉から登り、雪倉岳〜朝日岳を経由して戻ってくるというコースであり、少々距離は長くなるものの、トレランの猛者なら一日で回ってこられるところを二泊三日の予定で歩くのだから、まあ、何とかなるだろう。唯一の心配は、決して広くないという蓮華温泉の駐車場に車をきちんと止められるかという点だけであり、そんな不安を払拭するために金曜日に休暇を取得し、午前5時頃、駐車場に到着する。
平日ということで駐車場はまだ6割くらいしか埋まっておらず、身支度を調えてから5時23分に出発。白馬岳方面への登山口は蓮華温泉ロッジの建物付近にあり、まずは思ったよりも地味な雰囲気の漂う登山道をゆっくり上って行く。天狗ノ庭(6時45分)から眺めた朝日岳の山頂はガスに包まれていたが、登頂予定である明日までには何とか晴れて欲しいなあ。
天狗ノ庭の先からは道幅も広がり、傾斜も幾分緩くなってなかなか良い感じ。森林限界を越えるとそこには広大な草原が広がっており、7時48分に着いた白馬大池山荘前のベンチに腰を下ろして休憩を取る。気持ちの良い青空の下、チングルマをはじめとする多彩な花々が咲き競う様子はまさに天上の楽園であり、次回は妻と一緒に訪れたいと思った。
休憩後、小蓮華山へと続くなだらかな上り斜面を歩いて行くと、アッという間に周囲を白いガスに包まれてしまい、のんびりとした夏山の雰囲気は一変する。稜線上を歩くために風は強まるし、湿ったガスのせいですぐにメガネが曇ってしまい視界も不良。こんな状況では雷鳥と出会っても分からないだろうなあと思いながら、9時19分に小蓮華山(2766m)。
その先からも状況は変わらず、三国境(9時59分)を過ぎて10時37分に着いた白馬岳(2932m)の山頂もガスの中。しかし、こんな状況でも快適に過ごせるのがメジャーな北アルプスの良いところであり、少し下ったところにある白馬山荘のレストランでホットコーヒーを飲みながら優雅に休憩した後、さらに下った村営頂上宿舎(11時39分)でテント設営。ここまでの歩行距離は11.8kmだった。
さて、昼寝をしながら午後3時頃までゴロゴロしていると、次第に上空の雲が取れてきたため、テント場のちょっと南にある2768ピークまで散歩に出掛け、そこから白馬岳、杓子岳、鑓ヶ岳の“白馬三山”や旭岳の眺望を楽しむ。薄い雲越しではあるが、何とか剱岳の姿も確認することが出来た。
ということで、平日にもかかわらず、夕方までにはテント場はほぼ一杯になり、今夜は賑やかになるんだろうなあと、耳栓を持ってこなかったことを少し悔やむが、さすがに皆さん、テント場でのマナーは一流。日没後、安眠を妨げられるようなことは全くありませんでした。