槍ヶ岳(1日目)

今日は、この夏の最大の目的である槍ヶ岳へ出発する日。

初心者ということで、ルートは最も安全な槍沢ルートを選択し、初日の今日は上高地から殺生ヒュッテまで歩いてそこでテント泊。明朝、空身で槍ヶ岳山頂までピストンし、その日のうちに上高地まで戻ってくるという予定である。テント泊装備での片道20 kmの道のりはかなり大変そうであるが、上高地から槍沢ロッヂの間はほぼ平坦とのことなので、まあ、何とかなるだろう。

さて、まずは上高地に入るための中継基地である沢渡駐車場へ向かい、午前4時30分頃に市営第二駐車場に車を止める。この時期のバスの始発は5時40分であるが、タクシーを使えばもっと早い時刻での出発が可能らしく、身支度を済ませ、客待ち中の運転手さんに声を掛けてみたところ、4人連れのグループに相乗りさせてもらうことができ、5時過ぎに上高地バスターミナルに到着。料金は@800円だった。

ここで登山届を提出し、500 mlのペットボトル2本を満タンにして5時40分に出発。昔、妻と二人で訪れたことがある河童橋(5時45分)を横目で懐かしく眺め、気持ちの良い樹林帯の中のハイキング・ロードを進んでいくと、雲の多かった天候も途中から一部青空が覗けるようになり、気分は爽快。

明神(6時21分)〜徳沢(7時2分)〜横尾(7時49分)と、適当な間隔でチェックポイントが存在するのも良い励みになり、一の俣(8時29分)〜二の俣(8時36分)と立派な木橋を2回渡った後、8時58分に槍沢ロッヂ到着。予定どおり、ここで本日最初の休憩を取ることにした。

沢渡駐車場に着く前のコンビニで買ったサンドイッチを500mlのコーヒー牛乳で胃に流し込み、20分くらい休んでから再出発。ルートは次第に山歩きっぽくなってくるが、ババ平(9時42分)の先でもまだそれ程の斜面は出てこない。ほんのちょっとだけ雪渓(9時49分)の上を歩いた後、10時3分に大曲りに着く。

後から考えれば、ここから次のチェックポイントである天狗原分岐までの区間が一番体力的に苦しかったような印象があり、周囲の素晴らしい景観をゆっくり楽しむ余裕もなかったくらい。そんな状態にもかかわらず、途中で追いついた団体さんに“どうぞお先に”と道を譲られてしまい、足が攣りそうになりながらも何とか追い越させていただく。

その後、天狗原分岐(10時48分)でゆっくり休んだおかげで体力も回復。その先にある小さな沢を横断するところがこのルート最後の水場(11時19分)であり、ここでペットボトル2本と別に持参したプラティパスを満タンにしてさらに進んでいくと、11時37分、ついに槍ヶ岳のお姿が目に飛び込んでくる。

事前学習によると“槍が見えてからが長い”という話であったが、今まで見たことがないほど巨大な槍の穂先を眺めながら歩けるのはやはり嬉しいものであり、坊主岩屋下分岐(11時48分)〜坊主岩屋(11時52分)〜殺生ヒュッテ分岐(12時16分)と進んで、12時23分に今日の宿泊予定地である殺生ヒュッテに到着。予定よりかなり早かったため、途中、槍ヶ岳山荘泊に変更することも考えたが、まあ、それは次回のお楽しみにとっておこう。

さて、受付でテント料と恒例のコーラ代(ともに@500円)を支払って、テント場へ向かう。今日も一番乗りなので場所は選び放題であり、槍の穂先がよく眺められるところにテントを設置して一休み。ようやくケータイがつながるようになったので、妻にメールを入れた後、これからどうするかボンヤリ考えたが、やはりここは明日の下調べ(?)ということで、とりあえず山頂まで行ってみることにする。

山頂付近にはガスが多く、万全の状態ではなかったものの、テント場(13時53分)を出発する時点では槍の穂先はハッキリ見えている。さすがに空身(=とはいっても水や雨具、若干の行動食は持参)で歩くのは楽チンであり、25分足らずで槍ヶ岳山荘(14時17分)に到着。まだ山頂にガスもかかっていないので、直ちに槍の穂先に取り掛かる。

相当慎重な方もいらっしゃるため時間的には少々手間取ったが、正直、恐怖心を覚えるような箇所は皆無であり、最後の2連のハシゴを上りきって14時37分に念願だった槍ヶ岳の山頂(3180m)に立つ。残念ながら遠くの山々は雲に隠れていたが、360度の絶景は明朝のお楽しみにして、15分くらいの滞在の後に下山。槍ヶ岳山荘(15時5分)を経由して、15時25分にテントまで戻ってきた。

それから後は全くのフリータイムであるが、天気の方は晴れたりガスったりの繰り返し。近くにテントを張った方から虹が出ている(17時7分)のを教えていただき、“今日は満月なので、晴れれば月夜の槍ヶ岳が見られるかも”なんて話していたのだが、結局、雨が降り出してしまい、満月を拝むことは出来ませんでした。