谷川岳馬蹄形縦走

今日は、かねてからの目標であった谷川岳の馬蹄形縦走を歩いてきた。

俺がその言葉を知ったのは初めて谷川岳に登った4年前のことであり、当時は西黒尾根を上るだけでもビビっていたため、馬蹄形縦走なんて夢の夢だと思っていた。それがにわかに現実味を帯びてきたのは、2年前に白毛門〜朝日岳をピストンしたときからであり、朝日岳までの所要時間を先人の馬蹄形縦走の記録と比較したところ、そう悪くないことが判明した。

それから早2年、本当は、上りでしか使ったことのない西黒尾根の下りを一度経験してからとも思ったが、まあ、いつまで迷っていても仕方が無いということで、“谷川岳の日”でもある本日の挑戦を決意。所要時間14時間30分の計画を立て、それに見合うであろう4リットルの水分(=予備としてウイダーinゼリー5袋も別途持参)をザックに詰めて、午前3時過ぎに白毛門登山口駐車場に到着する。

今日の天気予報は晴れであるが、午後に雷雨の可能性があるというのが大きな不安材料。15時までには谷川岳に戻ってこられるよう早立ちを心掛けたのだが、真っ暗な駐車場での準備作業に手間取ってしまい、実際に出発できたのは予定を数分経過した3時37分のことであった。

さて、日の出の時刻にはまだ1時間早いということでヘッデンを点灯して歩き出すが、ここから朝日岳までは一度歩いているということもあって、あまり不安は感じない。熊除け&雷センサーであるAMラジオを聴きながら、松ノ木沢の頭(5時7分)〜白毛門(1720m。5時41分)〜笠ヶ岳(1852.1m。6時25分)と歩いて、7時17分に朝日岳(1945.3 m)に着く。

ここまでのペースは前回より10分以上遅れているが、荷物が重くなっていることを考えれば全くの想定内。予定ではここで30分間の休憩を取ることにしていたが、周囲はガスっていて見晴らしは悪いし、夕立が心配ということで数分の休憩で切り上げて再出発。

ここから先は未知の世界となるが、湿原に敷かれた木道はとても歩きやすく、宝川温泉分岐(7時30分)を過ぎて7時42分にジャンクションピーク到着。しかし、続くヤセ尾根はガレているところが多いためとても滑りやすく、それほど疲れてもいないのに2、3度尻餅をついてしまう。その先の雰囲気もあまり良好とは言えないが、清水峠に近付くにつれて急速に改善していき、池塘(8時27分)〜鉄塔(8時36分)と歩いて、8時42分に白崩避難小屋。

この頃になるとすっかり天気も回復し、周囲の開放的な雰囲気に気分は上々。まだ十分体力が残っているため、多少のアップダウンも苦にはならず、大源太山分岐(9時24分)〜七ッ小屋山(1674.7m。9時28分)〜シシゴヤノ頭分岐(9時53分)を過ぎて10時1分に蓬ヒュッテに着くことが出来た。

ようやく馬蹄形縦走もその半分を消化し、ヒュッテの前のベンチに腰を下ろして大休止。時間的にも予定を30分弱上回っているため、次の上りに備えて十分休憩しようと思ったが、ヒュッテの職員の方の話によると昨日も夕立があったらしく、谷川岳に行くならなるべく急いだ方が良いとのこと。30分間の休憩を泣く泣く15分間で切り上げて再出発。

さて、ここから武能岳〜茂倉岳と続く上りが、反時計回りでの馬蹄形縦走における後半のメインイベントであり、まあ、武能岳(1759.6m。10時56分)までは何とかなったものの、次第に足が満足に上がらなくなり急速にペースダウン。予定外の休憩を何度も挟みながらようやく茂倉岳(1977.9m。12時44分)に着いたときには、蓬ヒュッテで貯めた15分間の貯金をすべて使い果たしていた。

さすがに疲れたものの、これで本日の上りは9割方クリアしたことになり、一ノ倉岳(1974.1m。13時12分)〜ノゾキ(13時37分)〜奥の院(13時52分)と重い足を引きずって、14時11分にオキノ耳(1977m)まで戻ってくる。しかし、山頂には三脚を構えた登山者が1名いらしたため、疲れ果てた無残な姿を見せないようトマノ耳(1963m。14時25分)まで移動して、こちらで大休止。

この頃になると、山頂は再びガスに包まれてしまったため見晴らしは悪いが、時折ガスの間から姿を見せる縦走路を眺めて一人満足感に浸る。まあ、この後には懸案の一つである西黒尾根の下りが控えているのだが、まだ予定時刻を20分ほど上回っており、今のところ夕立の心配もないので大丈夫だろう。

さて、西黒尾根の入口でダブルストックをザックに収納し、悪名高き蛇紋岩の下りをノロノロと進んでいくが、ガレ沢の頭(15時43分)〜ラクダの背(15時47分)を過ぎたところでとうとう夕立が降り出してしまう。まあ、ある程度覚悟はしていたので、レインスーツの上だけを身に付けてから3カ所の鎖場を慎重に下ると、その先でようやく樹林帯の中に入ることが出来た。

もうこうなれば雷が来ても怖くない(=実際、2、3度雷鳴が轟いた。)ということで、あとは濡れた石で滑りやすくなっている足下だけに注意して西黒尾根の残りを下り続ける。疲れた足にはかなりの負担であるが、もう急ぐ必要も無いので気は楽であり、西黒尾根登山口(17時38分)を過ぎ、何と予定時刻にピッタリの18時丁度に駐車場に戻ってくることが出来た。総歩行距離は25.9kmだった。

ということで、4年越しの懸案(?)であった谷川岳馬蹄形縦走を無事終了することが出来、まずは大満足。前半にちょっと飛ばしすぎたため、茂倉岳への上りでバテてしまったのが反省点であるが、終わってしまえばそれも良い思い出であり、まあ、有るか無いかは分からないが、次回への備忘録として何点か記しておきたいと思います。

1 水の消費量は3.5リットル弱であり、ウイダーinゼリーは1袋しか食べなかった。晴れとガスとが半々くらいの天気だったため、前者の割合が多くなれば水の消費量も増えるだろうが、足らなくなれば水場の利用も可能なため、持参するのは4リットルで良いと思う。

2 予想より少なかったが、ジャンクションピークから茂倉岳の間で何度か羽虫にまといつかれた。しかし、羽虫にはハッカ油のスプレーが非常に有効であり、これさえあれば全く問題にならない。

3 途中で出会った登山者は、武能岳への上りですれ違った4、5人連れとオキノ耳のお一人だけ。平日ではあるが、梅雨の晴れ間の谷川岳の日ということでもう少し多いかと期待したのだが、おそらく今日馬蹄形を歩いたのは俺一人だったろう。

4 白毛門、朝日岳、蓬ヒュッテ、茂倉岳それとトマノ耳で自宅に経過報告のメールを入れたが、すべて成功だった。ただし、朝日岳と蓬ヒュッテではちょっと不安定かな。