エンダーのゲーム

2013年作品
監督 ギャヴィン・フッド 出演 エイサ・バターフィールドハリソン・フォード
(あらすじ)
2086年に起きた異星生命体フォーミックの襲撃によって大打撃を受けた人類は、次なる襲撃に備え、世界中から集めた天才児に対して司令官になるための究極のエリート教育を施すバトルスクールを設置する。訓練長官のグラッフ大佐(ハリソン・フォード)は、ウィッギン家の3番目の子どもであるエンダー(エイサ・バターフィールド)の非凡な能力に注目し、彼をバトルスクールへ入学させるが….


ヒューゴー賞ネビュラ賞の二冠に輝く傑作SF小説の映画化。

エンダーには兄と姉がおり、自分が3番目の子どもであることを強く意識しているのだが、それが何故なのか見ていて良く理解できない。鑑賞後に調べてみたところ、当時の地球では子どもは二人までという少子化政策がとられていたという設定が原作にはあるらしく、兄姉がともに優秀であったウィッギン家では、特別に3番目の子どもを持つことが許されたということらしい。

要するに、エンダーは生まれながらにして“特別扱い”を受け、それによるプレッシャーに耐えながら成長してきた訳であり、彼が常に3番目の子どもであることを意識し続けなければならない事情も十分納得出来たのだが、まあ、こんな感じで原作の設定に関する説明が不十分なため、見ていて違和感を覚えるところが少なからず存在するのが困りもの。

おそらく、原作の“密度”が高過ぎるため、その内容を2時間以内の作品に収めることが難しかったのだと思うが、ストーリー上、壮大なスケールで行われた筈の宇宙戦争をスクリーン上に写し出されたTVゲームとしてしか表現できないことを考えてみれば、本来あまり映画化には適さない作品だったのかもしれない。

しかし、このことは、裏を返せばそれだけ原作となった小説の方に期待が持てるということでもあり、高い評価はかねてから耳にしていたものの、子どもが主人公らしいということで未読のまま敬遠してきたところであるが、本作に関する記憶が薄れてくる頃にでも一度読んでみようと思った。

ということで、ラストは、グラッフ大佐の“積極的平和主義”に納得のいかないエンダーが、困難な、しかし、希望に満ちた次の任務に就くために大空に旅立つところで終わるのだが、この理想主義を子供っぽさの現れとして馬鹿にするような人間とはお友達になりたくありません。