ミッドナイト・イン・パリ

2011年作品
監督 ウディ・アレン 出演 オーウェン・ウィルソンマリオン・コティヤール
(あらすじ)
ハリウッドで活躍中の脚本家ギル(オーウェン・ウィルソン)は、婚約者イネズの父親の出張旅行に便乗して憧れの地パリを訪れる。今の仕事に満足していない彼は、パリに移り住み、念願だった小説の執筆に専念するという夢をイネズに打ち明けるが、現実的な彼女は全く相手にしてくれない。そんな失意の彼が、一人で真夜中のパリを彷徨っていると、何処からともなく一台の旧式プジョーが現われ….


これまでのウッディ・アレン作品の中で最大のヒットを記録した作品。

誘われるままプジョーに乗り込んだギルが連れて来られたのは、コール・ポーターの曲で盛り上がっているパーティ会場であり、そこでスコット・フィッツジェラルド夫妻に出会った彼は、憧れだった1920年代のパリに自分がタイムスリップしたことに気付く。

基本的なアイデアルネ・クレールの「夜ごとの美女(1952年)」と同じなのだが、次第にドタバタ喜劇へとエスカレートしていった同作とは異なり、こちらはウッディ・アレンらしいお洒落な雰囲気が漂う素敵なロマンチック・コメディに仕上げられており、まあ、これならヒットしても全然おかしくない。

“昔は良かった”という懐古趣味が最後に否定されてしまうところも「夜ごとの美女」と同様であるが、その結果、ギルが選んだのは古巣のハリウッドではなく、現代のパリでの一人暮らし。そこで、彼の夢を理解してくれる新しいパートナーに出会うという相当ベタなハッピーエンドも、興行成績に大きく貢献したのだろう。

正直、ウッディ・アレンの作品としてはヒネリが少なく、少々物足り無くはあるのだが、何といっても登場するのがヘミングウェイピカソ、ダリ、ルイス・ブニュエル等をはじめとする綺羅星の如き超一流の文化人ばかりであり、彼等を演じている俳優のそっくりさんぶりを眺めているだけでも十分に楽しめてしまえる。ピカソの恋人であるアドリアナに扮したマリオン・コティヤールも、とても可愛らしかった。

ということで、ウッディ・アレンの新作を見るのは「マッチポイント(2005年)」以来だったのだが、幸いなことに両作品ともとても面白く拝見することが出来、大満足。特に、彼の女優さん選びのセンスは絶妙であり、次は「それでも恋するバルセロナ(2008年)」を試してみようと思います。