平ヶ岳

今日は、福島県新潟県の県境にある平ヶ岳を歩いてきた。本来、ここは昨年の目標の一つだったのだが、駐車場がある鷹ノ巣に行く途中の金泉橋が昨夏の大雨で流されてしまい、あえなく断念。今回、一年ぶりの再挑戦ということになった。

さて、登山口から山頂まで往復20km超のロングコースということについては百も承知の上であり、それよりも心配なのはここ数日間続いている夕立の方。怖がりの俺としては山歩き中の雷は何としても避けたいところであり、遅くとも午後3時までには駐車場に戻ってこられるよう、鷹ノ巣駐車場(=先客は1台きりだった。)を午前4時55分に出発する。

駐車場の片隅にあるポストに登山届を投函し、道幅の広い林道を進んでいくと、間もなく沢に架かった橋(5時6分)を渡り、5時9分に“平ヶ岳10.5km”の表示がある登山口に到着。ここからは、いわゆる“ヤセ尾根”を延々と上り続けることになるが、好天の下、双耳の燧ヶ岳をはじめとする周囲の山々を眺めながら歩けるので、精神的にはむしろ楽である。

ヤセ尾根を上りきったところが下台倉山(1604m。6時28分)であり、“平ヶ岳7.2km”の表示がある。その後の稜線歩きも所々で眺望が得られるが、傾いた三角点のある台倉山(1695.3m。7時7分)から先のルートは見晴らしの無い樹林帯の中に続いており、台倉清水(7時15分)、白沢清水(7時46分)という2箇所の水場の表示を心の励みに、断続的に続く木道の上を黙々と歩いていく。

やがて木道が途絶えると、そこからが山頂の湿原へと続く最後の上りであり、次第に傾斜がきつくなってくる長い斜面を何とか上りきって8時45分に姫池に到着。それまでと一変した美しい湿原の風景にすっかり身も心も癒される。

ここまで、俺より先に鷹ノ巣の駐車場に車を止めていた方と思しき単独の先行者をヤセ尾根の途中で追い越していたので、てっきり一番乗りだと思っていたのだが、山頂に向かう途中で立て続けに4人の登山客とすれ違い、ちょっぴり意気消沈。最初に出会った中年女性の話から判断すると、噂に聞く別ルートを上ってきた人々なのかもしれない。

しかし、幸いなことに玉子石分岐(8時52分)の先にある平ヶ岳の二等三角点(2139.6m。9時6分)のところには誰もおらず、ここには山頂を示す立派な標識も立っているのだが、事前学習によるとこの山の最高地点(2141m)はその先の木道終点(9時10分)付近にあるらしく、そこまで歩いてから一休み。湿原と周囲の山々が織り成す絶景を楽しみながら、ちょっと早めの昼食をとる。

もっとゆっくりしたいところであるが、夕立が心配なので10分くらいの休憩の後に平ヶ岳名物の玉子石を目指して再出発。いったん玉子石分岐(9時34分)まで引き返してからそこを左折し、水場(9時37分)の先の分岐(9時39分)を再び左折すると、9時52分にようやく玉子石にたどり着く。正直、あまり期待はしていなかったのだが、池塘をバックにした玉子石の姿は、成る程一見の価値はある。

ここから標識どおりに木道を進んで姫池(10時11分)に着くと、そこから先は往路を引き返すだけであり、白沢清水(10時53分)〜台倉清水(11時19分)〜台倉山(11時28分)〜下台倉山(12時7分)〜登山口(13時22分)と歩いて、13時33分に駐車場まで戻ってくる。午後になってさすがに雲の量は増えていたが、俺の見た限り、夕立の心配は杞憂だったようである。

ということで、駐車場から山頂まで一度も携帯が通じないというおそろしく辺鄙なコースであり、特に台倉山から姫池までの区間はあまり雰囲気もよろしくないのだが、その対策としてZEN Stoneの中の曲を一新しておいたのが大成功。LP時代からの愛聴盤を聴きながらの山歩きは、見晴らしの無い樹林帯の中でも退屈することはありませんでした。