若草の萌えるころ

1968年作品
監督 ロベール・アンリコ 出演 ジョアンナ・シムカス、カティーナ・パクシヌー
(あらすじ)
女子大生のアニー(ジョアンナ・シムカス)は、母親と伯母のジタ(カティーナ・パクシヌー)と一緒にパリのアパートで暮らしていたが、ある日、ジタが脳卒中で倒れ、そのまま自宅のベッドで昏睡状態になってしまう。母親と二人して懸命に看病に当たるアニーであったが、身近に迫る死の恐怖に耐えきれなくなった彼女は、ある夜、バスケットボールの試合を見に行ったきり、家に帰れなくなってしまう….


ロベール・アンリコ監督、ジョアンナ・シムカス主演による青春映画。

アニーの父親(=ジタの弟)はスペイン人のレジスタンス闘士であり、彼女が物心つかないうちにスペイン内乱で命を落してしまったという設定。そして、いつも彼女のそばにいて父親のいない寂しさを慰めてくれたのが、生涯独身を通したらしいジタ伯母さんだったのだろう。

アニーと母親の関係も決して上手くいっていない訳ではないものの、かかりつけの医師ベルナールとの接し方を見ていても、この母親はまだ十分に“女”であり、特にアニーが幼かった頃には四六時中“母親”の役だけを演じ続けていたとは考えられず、その隙間を埋めていたのもジタ伯母さんだったのかもしれない。

まあ、そんな優しかったジタ伯母さんが、突然、口もきけないような“別人”に変わってしまったのだから、アニーが動揺するのも仕方ないところ。本作は、そんな彼女が夜のパリの街をさすらう過程で体験する様々な出来事を描いているのだが、残念ながら、俺のような中年男が興味を引かれるエピソードはほとんど見当たらず、ところどころに挿入されるスペイン内乱当時の記録映像の意味するところも全く理解できない。

また、主演のジョアンナ・シムカスは、昔、同じ監督による「冒険者たち(1967年)」をビデオで見たとき以来の久々のご対面であったが、“こんなに顔が長かったっけ?”というのが今回の偽らざる感想であり、そんなところも本作に対する欲求不満の一因。結局、“見る映画を間違った”というのが本日の結論のようである。

ということで、今から40年以上前の作品の故、仕方ないことなんだろうが、ヘビースモーカーのヒロインが吸殻やマッチをそのまま路上にポイ捨てする様子が、見ていてとても気になった。まあ、俺自身も20年くらい前までは同じようなことをしていたので、彼女を責める訳にもいかないのですが・・・