美術で読み解く 旧約聖書の真実

秦剛平という人が書いた旧約聖書のガイドブック。

一応、“美術で読み解く”というタイトルに期待して購入した訳であるが、著者の専門が宗教学ということで、絵画に関する記述はかなり限定的であり、正直言って付け足し程度。文庫本という制約上、あまり大きく掲載できなかった絵画の写真も挿絵くらいの機能しか果たしておらず、解説を読んでも何が描かれているのか良く分からないものが多い。

まあ、考えてみれば旧約聖書の解説書を通しで読んだ経験はこれまで無かったため、手軽に全体を概観できるという意味では無駄ではなかったが、旧約聖書に書かれたエピソードの紹介がメインであるため、特に新たな知的興奮をかき立てられるという訳でもなく、割と淡々とした感じで最後まで読み終えてしまった。

ということで、本書は同じ著者による三部作の中の一冊であり、他に新約聖書と聖母伝説を題材にした同様の作品が二冊あるらしいのだが、おそらくそれらを手に取ることは無いような気がします。